空と太陽と向日葵と…

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

すれ違う思い 6

イメージ



何処をどう走ったか分らないまま、向日葵はビルとビルの間にある細い路地にしゃがみ込む。
地面にはポタポタと自分の涙の後が次々と出来ていった。
(彼女じゃないって言ったのに!太陽兄ちゃんの嘘つき!)
膝をかかえこむようにして、鞄から出した実にタオルで顔を覆い、声を出さないようにしてうずくまる。
(……違う、悪いのは太陽兄ちゃんじゃない。悪いのは私だ……変な期待をした自分のせいだ)
通りから少し入っただけの路地なのに、うずくまって泣いている向日葵を気にする人など誰も居なかった。
向日葵はなんだか自分が世界においていかれるような、独りぼっちになっているような、そんな気持ちになり、その気持ちがさらに涙を流れさせる。
(……もう、帰ろう。帰りたくないけど……)
そう思って、向日葵が立ち上がろうとすると、泣きすぎたせいなのか、頭がボンヤリして立ちくらみがした。
「おっと!……大丈夫?」
道路に倒れこみそうになった向日葵の体を誰かが支えてそう聞いてくる。
ボンヤリとしたまま、声のしたほうを見てみれば、そこには遼が向日葵を支えていた。
「葛木……君。どうして?」
「どうしてって、約束。待ち合わせ時間になっても来ないから探してたんだ」
ニッコリ微笑んで言う遼に、徐々に頭がハッキリしてきた向日葵は顔を伏せる。
「ご、ごめんなさい……(ど、どうしよう……なんて言い訳すればいい?)」
明らかに泣いていただろうと言う顔をしている理由を聞かれたらどうしようかと向日葵は必死で考えていた。
俯いて顔を背けた向日葵に遼は言う。
「映画は取りやめにして、カラオケに行こうか」
「え?」
思いがけぬ提案に、向日葵は首をかしげたが、そんな向日葵を無視して、遼はグイッと向日葵の体を自分に抱き寄せ、肩を抱いて体をピッタリとくっ付けたままで、近くのカラオケ店へと歩いていった。
イメージ上へ
イメージ イメージ イメージ

web拍手 "

応援ヨロシクです♪イメージ
inserted by FC2 system