空と太陽と向日葵と…

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

揺れる心 2

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唇を指で押さえられたまま、向日葵が視線を遼に送ると、遼は優しい視線を送って言う。
「言わなくて良いよ。言いたくないでしょ?」
「ぅん……」
まるで自分の考えを見透かすかのように言われて、向日葵は俯いて頷いた。
本当は誰かに聞いてもらいたいことでもあったけれど、遼がその相手ではないことは向日葵でも分っている。
それに、今、ココでそのことを話し始めれば、きっとまた涙が止まらなくなって、遼を困らせてしまうと言う事も向日葵には分っていた。
少し浮き出ている涙を手に持ったオシボリでそっと拭いて、向日葵はポツリと遼に聞く。
「ねぇ、どうして帰らなかったの?」
「え?」
「だって……待ち合わせ時間過ぎてたし」
「約束してるのに光田さんが何も言わずに来ないとは思わなかったからかな〜」
「そんなこと……言わずに帰るかもしれないじゃない」
「ま、そのときはその時ってね?俺、結構臨機応変だから」
向日葵は何も言わずに帰ろうとしていた自分を、信じてくれていたんだとわかり、少し後ろめたくなった。
しかし、笑顔でそんな考えをも吹き飛ばそうとしてくれる遼につられ、向日葵の口の端に笑顔が戻る。
「ねぇ、どうやってあそこって分ったの?」
「う〜ん、どうしてって聞かれてもな〜」
「あの場所。通りから少し入っただけなのに通る人は誰も私に気づかなかったんだよ?なのにどうして?」
遼は困った風に頭をかいて少し考え、その後、首を傾げていった。
「何となく……かな?」
思いもしなかった遼の答えに向日葵はきょとんとして聞き返した。
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