空と太陽と向日葵と…

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

揺れる心 4

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「ち、違うって?」
「光田さんは、どうしてなのかはわからないけど、自分に意地をはってるんだってわかったから。ツンツンしているように装っているだけだと分ったから」
「装ってるなんて、わからないわよ」
「ううん、装ってる」
ジッと自分を見つめてくる遼の瞳に向日葵は今まで自分を固めてきた鎧を脱がされていくようで、そっと瞼を閉じる。
「どうして……そう思うの?」
「見たんだ、中学の時。歯を食いしばって、1人で誰も来ない、誰も使わなくなった美術準備室の片隅で泣いてる光田さんを……」
遼の言葉に向日葵はキュッと遼の胸においていた手を握った。
中学の頃、何もしていないのに態度が生意気だと意味の分らないイジメを受けていた。
その時、決して負けないと、誰にも甘えないと、強くなるんだと……。
そう言い聞かせて毎日頑張っていたが、やはり、どうしても泣きたくなった。
そんな時、向日葵はいつも石膏像などが詰め込まれた、そうこのように使われている美術準備室へいって泣いていた。
「あんなに何を言われても動じていなかった光田さんが、1人で泣いている姿を見て俺は思ったんだ……この人は本当はとても脆くて、儚い人なんじゃないかって」
「そんな事。たまたまよ、どっか打って痛かったとか、眼にゴミが入ったとか……」
「そんなに何度も打ったり目にごみが入ったりしたの?ダメだよ……俺はずっと光田さんだけを見てきたんだから、嘘はつけないよ」
握り締めた向日葵の手に自分の手を重ねて優しく言った遼は、首を微かに振っている向日葵の体を更に自分の胸に閉じ込めるようにして抱きかかえて言う。
「光田さんの泣いてる姿を始めてみた時から。光田さんが必死で頑張っている姿を見た時、俺は好きになったんだ。ねぇ知ってる?」
「何を?」
「好きな人が出来るとさ、その眼はいつの間にかその人を追いかけてるんだって事」
(そう、知ってるわ……私の瞳は何時だって太陽兄ちゃんを見ていたもの)
向日葵は遼のその言葉に心の中でうなづいてそう思っていた。 

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