空と太陽と向日葵と…

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

揺れる心 6

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遼の胸の高鳴りは最高潮に達して、荒くなりそうになる息遣いを何とか普通に保つのがやっとの状態。
一度ギュッと眼を閉じてから、そっと向日葵に囁いた。
「向日葵……」
「ん……」
「こっちを……見て……」
ゆっくりと向日葵が視線を遼に向けると少し顔を赤くした遼がジッと自分の顔を見つめている。
「な、何?……なんだかそんなに見られたら恥かしい……」
向日葵はそういって遼を見ていたが、ふと、遼の視線の先が自分の瞳ではなくもう少し下、唇を見つめているのに気づいた。
(え?……まさか)
向日葵がドキンと心臓を鼓動させたのを合図にしたかのようにゆっくりと遼の顔が近づいてくる。
(ま、待って……そんな急に……)
驚きのあまり「待って」と言う短い言葉すら発することが出来ず、遼の息が顔にかかってどうしようもなくなり、顔を背けるように下を向いた。
向日葵の顔が視界から消え、遼はハッと我に返って向日葵を見つめる。
自分の腕の中でうつむいて少し小さく震えている向日葵に自分が早まった事をしてしまったと気づいた。
「ご、ごめん……行き成り」
「ぅ、ううん……」
首を横に振った向日葵だったが、それ以上の言葉が出てこない。
ドキドキと息が苦しくなるほどの心臓の音だけが自分の耳に響いて、頭は真っ白だった。
「まだ、こんな事するつもりなかったんだけど……本当にごめん」
遼の謝ってくる声に向日葵は頭を横に振って答え、ただ下を向いている。
遼はそんな向日葵の様子に後悔ばかりが浮かんで、必死で首を横に振る向日葵をギュッと抱きしめた。
「あ、ぃや!」
遼の腕が向日葵を羽交い絞めにして、向日葵の体が遼にピッタリとくっついた瞬間、思わず向日葵はそう言って、両腕に精一杯力を込めて腕をつっぱり、遼の体から離れて立ち上がる。
反射的にやってしまったことに、向日葵自身驚いて、ジリジリと後ずさって呆然と自分を見ている遼の姿を見つめ、向日葵は瞳を潤ませてた。
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