空と太陽と向日葵と…

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

傷心 5

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涙を流しながら、家に帰ってきた向日葵はすぐに自分の部屋に駆け上がり、布団に倒れこむ。
心配そうな様子と、怒鳴りつけられ悲しい表情になった太陽の顔が瞼に焼き付いてはなれない。
「八つ当たりだ。太陽兄ちゃんは悪く無いのに」
向日葵自身、今日は後悔することばかりだと、枕に顔を埋めて泣いた。
(分ってる。太陽兄ちゃんが悪いわけじゃない)
何度も言い聞かせるように向日葵は心の中で思う。
(女の人とキスしようとそれは太陽兄ちゃんの勝手。私が腹を立てることでも、太陽兄ちゃんに怒鳴ることでもない。別に私は太陽兄ちゃんの彼女って訳じゃないから、裏切り行為ってわけでもない。葛木君も、彼のせいじゃない。悪いのは私を好きだといってくれた人に甘えた私……最低だ……)
泣きすぎたことと、家に帰って来て少しほっとしたせいか、向日葵はなんだか頭が重たい感じになり、そのまま布団に意識が吸い込まれていくように、涙を枕にしみこませながら寝入った。
向日葵が目を覚ましたのは、自分の体をゆする感覚。
「全く、外出してそのまま寝たの?起きなさい向日葵」
「う、ん、母さん?お帰り。早いね?」
「もぅ、顔がグシャグシャよ。何かあったの?」
「ぅうん、ちょっと、疲れただけ」
優しく頭を撫でてくれる母親の手の温かさを久しぶりに感じた様な気がして、起き上がった向日葵はキュッと母親に抱きついた。
「なぁ〜に?甘えん坊ごっこ?」
「違うけど、少しだけ……」
「そうだ、向日葵。ちゃんと明日の準備してる?」
「明日?明日なんかあったっけ?」
母親を見上げながら言う向日葵に溜息をついて母親は言う。
「毎年恒例の行事があるでしょ?」
「あ!そっか!お祖母ちゃん家に行くんだっけ!」
「そうよ、ちゃんと用意してね?」
「うん。分った」
向日葵がうなづくと母親は立ち上がり「もうすぐご飯よ」と言って部屋を後にした。

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