空と太陽と向日葵と…

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

本心 3

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遼が出て行って暫く、太陽はその場に一人座っていたが、コーヒーを飲み終わると、伝票を持って会計を済ませ店を出る。
太陽は店を出て、オレンジの夕焼けになりかかった道を考え込みながら歩いていた。
『向日葵がずっと誰を目に映していると思ってるんですか……』
『俺は絶対、向日葵を渡さないし、向日葵を振り向かせる』
遼の言葉の意味を分ろうとすればする程、太陽の頭の中は混乱し、思わずフッと溜息をつく。
(それじゃ、まるで……向日葵が俺を好きだといってるみたいじゃないか。そんなはずは無い、向日葵は俺の事を未だに「太陽兄ちゃん」としか思っていない)
太陽は、小さな頃からお隣同士で、歳の離れた向日葵のお兄ちゃん気取りだった。
手を差し出せばオズオズとその手を握り返してくる向日葵を歳の離れた妹ではなく気にし始めたのは引越し数ヶ月前。
両親に引っ越すといわれて目の前に当然のようにいた向日葵がいなくなると考え始めると、その存在がドンドン大きくなった。
別れを言わないと……
そう思うがそれを言い出すことが出来ず、言えばこれから先なんだか一生会えないようなそんな気持ちになっていた。
だから、結局「さよなら」も「また会えるから」も、そして「気になる存在」だと言う事も何一ついえぬまま、この町を去ることになったのだ。
(帰って来て、全然変わっていない泣き虫な向日葵を見て俺は分った……向日葵を守りって行きたいそう思ったんだ……でも、あいつにとって俺はお兄ちゃんのまま。なのに……どうしてヤツはあんな事を?)
家に帰って来ると家にいた母親から、明日から向日葵の家族は田舎に帰省するのだと聞かされ、そういえばそうだったと太陽は思い出す。
(春休みになったら帰ってたな……夏休みはいるのに変なのって思ったっけ……)
明日から向日葵が居なくなるのなら、今日、色々話しておきたいと思ったが、自分の部屋から窓をみてみれば、向日葵の部屋の雨戸は閉じられたまま。
(……結局、この状況だ。ヤツは勘違いをしているんだ……)
遼の言う言葉の意味を考えれば、向日葵が自分を好きなのかもしれないと変な期待を持ってしまいそうだが、隣に居る本人からは固く雨戸を閉められて、話す事すら出来ない状況にされている。
(向日葵……)
太陽は自分のベッドに仰向けに横になって、腕を額で交差させながら天井を見つめ、泣いている向日葵の顔を思い浮かべていた。

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