空と太陽と向日葵と…

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

本心 5

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なんだか疲れてしまっていた向日葵はご飯を食べた後すぐにベッドに横になって眠ってしまい、遼のメールの返信に気づいたのは次の日の朝。
遼のメールを見て、怒ってないことがわかってホッとした反面、メールをすると言う一言が少し重たく感じていた。
「……とりあえず、返事しておこう」
挨拶程度の短い文章で返信した向日葵は着替えて自分の荷物を持って1階におり、朝食を食べて、ガレージの車へと荷物を運び込んだ。
玄関を出たり入ったりして、トランクに荷物を積み込み、チラリと太陽の家の方を見る。
朝早いせいか、1階の窓はまだ雨戸が閉められていて静か。
太陽の家を見つめている向日葵の心情はとても複雑だった。
(暫く離れる事ができる……少し落ち着いて色々考えよう)
向日葵はふぅと息を吐いて、荷物の詰め込まれたトランクのドアを閉めた。
バタンバタンと車のドアの開け閉めされる音に目を覚ました太陽は、はじめはその音を煩いと思って布団に潜り込んだが、すぐにハッとして起き上がる。
(向日葵の家の車!)
ベッドから飛び起きて、焦って着替え始めた太陽だったが、その時には既に荷物の積み込みも終り、エンジンがかけられていた。
窓を開けて体を少し乗り出して覗くと、隣のガレージから車の頭が見え、太陽は急いで部屋を飛び出す。
(間に合うか?!)
靴のかかとを踏むようにして適当に足をつっこみ、玄関を飛び出してみれば、丁度、向日葵の家の車は出て行くところ。
後部座席にいる向日葵がチラリと太陽の方を見た様な気がしたが、とまることなくそのまま車は走り去ってしまった。
「間に合わなかったか……」
チッと舌打ちをした太陽は肩を落として自分自身に苛立つ。
早めに起きて向日葵にあい、どんな会話でも一言でも向日葵と話し、ついでに連絡先を聞こうと思っていた。
向日葵のメルアドもケータイ番号も知らない。
「ったく……俺って本当に馬鹿だよな……目覚まし止めて、また眠ってんだから」
何時帰ってくるかも知らない太陽はせめて連絡先ぐらい聞いておきたかったのだが、それも聞くことが出来ず、向日葵が帰ってくるまで自分と向日葵をつなぐものがなくなってしまった様な気がして、太陽は落ち込んだ。

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