空と太陽と向日葵と…

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

私と言う自分 1

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高速道路を父親の安全運転で6時間かかってやってきた祖母の家で、向日葵は携帯の電源を切って、考え事もせずに祖母の畑の手伝いなどをして過ごす。
畑仕事が終わって、あぜ道のちょっと広い場所にござを敷いて、お弁当のおにぎりを頬張ってホゥと溜息を1つついた向日葵の横に祖母がやってきて腰掛けた。
「どぅした?向日葵」
「ん?何が?」
「フフフ、お前は嘘が下手だかんな〜」
祖母は向日葵の頭をポフポフ叩いて、ニッコリ優しい微笑で向日葵の顔を覗き込んでくる。
向日葵はなんだか恥かしくなってスイッと顔を背けた。
「なぁ〜んか、親にも言えん悪い事でもしたんけ?」
「ち、違うよ。悪いことはしてないよ……」
「ほだら、恋の悩みかの?」
「お、おばあちゃん。どうして分るの?」
「おや、当たったかい?若い子の悩みといえば、勉強、悪いこと、それに恋と決まってるだで?」
「……鎌かけたのぉ〜」
少しムッとしてそういう向日葵に大きくアハハと笑った祖母はふぅと一息ついて、向日葵に言う。
「な〜向日葵、悩むのはしようがないことだ。人間、生きていれば仕事であれ、勉強であれ、恋であれ、なにかしら迷うし悩む。だがな〜最後に決めるは自分だで?」
「自分?」
「そう、自分。受身っちゅうのはラクチンでな、何事も相手にまかせっきりで自分は何もせんでエエ。何があっても相手のせいに出来るし、自分で自分を責めることも、自分が苦しむ事は無い。ラクチンやろ?」
「うん、ラクチン……なのかな〜」
「でも、それではイカンって言うのはわかるか?」
「う〜ん……良くわかんない。楽ならそれでもいいような……」
口をすぼめ、首をかしげて言う向日葵を笑顔で見つめたまま、祖母はそっと向日葵の手に自分の手を乗せた。

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