空と太陽と向日葵と…

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

私と言う自分 5

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祖母の家で春休みが終わる3日前まで過ごした向日葵は再び、父の物凄く安全運転の車で帰って来て、荷物を運び込んで自分の部屋で一息つく。
キッチリと閉められた雨戸を瞳に映し、そっと近づいて、窓ガラスを開けた。
日の光で温められてホンワリと温かい扉に手をかけたが、なんだか雨戸を開ける勇気がなく、そのまま固まる。
(……ちゃんとしようって決めたのに……いざとなると胸が苦しくて出来ないなんて、私の弱虫)
クッと唇を噛み締めて少し震える手で雨戸の鍵を開けようとした時、母親に呼ばれ向日葵は買い物を頼まれた。
「もう、車なんだから帰りにスーパーでも何処でも寄ればよかったのに……」
そう文句を言いながらも、向日葵は少しホッとして駅前のスーパーへと向かう。
頼まれた買い物は今日の夕食の材料。
母親が向日葵に買い物を頼む時は、とにかく食材が無いから特売であろうと無かろうと買って来いそういうことだった。
そして、メモ帳には大量の買い物が書かれている。
「母さんって、私に頼む時は大量に頼むんだよね〜若いから荷物が多少多くても大丈夫でしょ〜とか言ってさ」
フゥと溜息をつきつつも、書かれている買い物を全て買い込んで、折りたたまれた大きめのエコバック2つに買い物をギュウギュウに詰め込み、1つを肩に、もう1つを両手で持ってスーパーを出た。
ジャガイモなどの重たい野菜に、醤油や味噌と言う重い調味料。
暫く歩いては、立ち止まって荷物を地面に置き、プルプルと持ち手が食い込んで赤くなった手を振って、ジンジンと傷むその手が和らぐと再び荷物を持って歩いていた。
(今日は一段と重い……)
フーフーと呼吸をして、重さにうんざりしてきた時、突然、手に持っていた荷物が無くなって、横に人影が現れ、向日葵はビックリしてその人影の方を見る。
「た、太陽兄ちゃん?!」
「随分重い荷物だな。そっちも持ってやる」
「う、うん……」
突然現れた太陽は、いつもの笑顔でいつもの態度で、向日葵の荷物を受け取り、軽々とその荷物を持って、向日葵の横にいて、向日葵は急な事に心臓をドキドキとただ鳴らすだけだった。

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