空と太陽と向日葵と…

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

太陽の気持ち 1

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数センチ、雨戸を開くと、自動的にガバッと全部開かれ、向日葵は驚く。
「え?な、何?」
雨戸にかけていた手をそのままに呆然としていると、雨戸の向こうに太陽がニカッと笑っていた。
「た、太陽兄ちゃん!?」
思いがけず、現れた太陽にビックリして素っ頓狂な声を上げ、その声にニッコリ太陽が窓枠に足をかけて微笑む。
「やっと開いた」
そういった太陽の言葉に向日葵は自分の胸がチクリと痛みながらも、少し嬉しい感じがして、下を向いた。
『やっと』
その言葉にずっとこの雨戸を気にしてくれていたんだという感じがして、嬉しく思う。
その反面、そう言わせるほど雨戸を閉じてしまっていたんだと少し申し訳なくなっていた。
2枚あるうちの1枚の雨戸を開けた太陽は、窓枠に手をかけ、そのまま向日葵の部屋に入ってくる。
慌てたのは向日葵。
何の心の準備も無いまま、太陽と2人っきりになってしまったのだから、これからの展開を考える余裕など全く無い。
(ど、どうしよう……窓越しに話すくらいって思ってたけど、行き成り部屋に入ってくるなんて考えてなかったもん)
オロオロとしながらも、なぜかそれを悟られてはいけない様な気がして、平静を保とうと必死。
しかし、心は正直で、先ほどまでチクリと傷んでいたはずの胸は今はドキドキとその鼓動を早めていく。
どうするか考えようとすればする程、頭の中の考えはこんがらがって、まとまらない。
「ふぅ、やっぱり年かな?中々、体がなまってる」
ハハッと笑って言う太陽の声も聞こえない位に向日葵は緊張し、窓際に突っ立っていた。
「向日葵?」
真横に立った太陽に肩を叩かれ、ハッとした向日葵は、ブンブンと頭を横に振る。
肩に置かれた太陽の手の温かさがまるで自分の体の全体にわたっていくような、そんな感覚に向日葵の緊張は進んで、声も出なくなってきていた。
そんな向日葵の様子に首をかしげて太陽が言う。
「……どうかしたのか?体調悪い?」
「へ、平気……なんでもないから……」
「そうか?なんか、さっきと言い、今と言い、元気が無いな」
フッと溜息に似た呼吸をした太陽に、向日葵はドキンと心臓を大きく鳴らした。
緊張のドキドキの中に不安のドキドキが入り混じる。
呆れられた?嫌われたかもしれない……そんなマイナスの気持ちがドンドン大きくなって、とうとう向日葵はその場にへたり込んでしまった。
太陽はビックリして、向日葵の肩を掴んで目の前に腰を下ろす。
「向日葵?!大丈夫か?」
コクリと頷く向日葵の目の前には太陽の顔があり、その唇を見て向日葵はコンビニ所で見た光景を思い出していた。

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