空と太陽と向日葵と…

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

太陽の気持ち 2

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ジッと向日葵が見つめる太陽の唇からは、向日葵を心配する言葉が吐き出される。
「もしかして、体調、悪いのか?」
唇が動いているのは分っていたが、太陽の言葉は向日葵の耳には届いていない、
ただ、向日葵の眼に映っているのは薄い太陽の唇。
(ココにあの真っ赤な口紅のついた女の人の唇が……)
向日葵はそんな事を考えながら、唇を見つめ、ドキドキと高鳴っていた胸が嘘のように苦しく締め付けられていくのを感じる。
向日葵の瞳は太陽の唇から動く事は無く、自分を見つめる向日葵に太陽は首をかしげて聞いた。
「どうした?」
向日葵の頭の中に響いた太陽の『どうした』に向日葵は眉を寄せる。
(ダ、ダメ!)
向日葵は必死でその感情を抑えようとしたが、苦しい感情は、ホロリと向日葵の目から涙がこぼれおちた。
太陽の前で泣きたいわけじゃないのにこぼれる涙。その涙に今度は太陽がオロオロし始める。
「え?お、俺なんかしたか?向日葵?」
太陽の口から発せられる言葉は、なんだか向日葵の気持ちを太陽が全く知らないのだということを再確認させるようで、向日葵は胸が締め付けられていた。
慌てる太陽に、ポロポロと涙をこぼしながら、ジッと太陽を見つめ、首を横に振る向日葵。
(知らなくて当然なんだ……泣くことじゃない……)
そう自分に言い聞かせようとしている向日葵だったが、涙は止まらない。
肩を震わせ、自分の前で小さく声を出さないように泣く向日葵に、なにがどうなっているのか分らないまま、太陽は両手で向日葵の顔を包み込み親指で涙を拭う。
温かい太陽の手を顔に感じて向日葵は太陽の手に自分の手を重ねた。
太陽は、自分が包み込んでいる向日葵の小さな顔と、重ねられた手にドキッとする。
太陽の鼻をくすぐるのは石鹸の匂い。
頬の横に少し垂れた向日葵の髪の毛が指先にあたり、その髪はひんやりとして、少し濡れている。
濡れた髪は太陽に風呂上りだと知らせていた。
ドクドクと太陽の心臓は全身に血液をめぐらせる。
向日葵の頭の頂点からゆっくりと視線を向日葵の顔へと落としていけば、涙で濡れてキラキラと輝く向日葵の瞳が映り込んで来た。
(ヤバイ……)
太陽は必死で自分の気持ちを抑え、コクリと唾を飲み込んだ。
そんな太陽の気持ちなど分からない向日葵は、スゥっと大きく空気を吸い込む。
(……自分に素直になるってきめたでしょ!向日葵)
自分に発破をかけた向日葵は、ゆっくり瞼を閉じキュッと重ねていた太陽の手を握った。
(さぁ、言うのよ!)
向日葵が太陽に自分の気持ちを伝えようとした時、瞳を閉じた向日葵の顔にフワリと風がなびいた。

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