空と太陽と向日葵と…

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

2人の時間 1

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向日葵の言葉に太陽はどう答えればいいのか分らず「いや……」と言ったままそれ以上の言葉が出てこない。
黙り込んでしまった太陽は言葉に出来ない自分のあふれる思いを押さえ込もうと、向日葵の頬にあった手を肩から背中に回し、ギュッと向日葵を自分の胸の中に閉じ込める。
(どうすればいいんだ?)
太陽は自分の気持ちにすら戸惑っていた。どうすればいいのか分からないと言う頭の混乱と、今、目の前に居る向日葵を放したくないといおう想いが自分の中で渦のようになって混ざってしまい、向日葵の顔を見ればまた無理やりにでもキスをしてしまいそうで向日葵を自分の胸に抱きしめてしまっていた。
太陽の胸の中に抱きしめられて一瞬ビックリした向日葵だったが、それよりも太陽の「ごめん」が気になってしまい聞く。
「太陽兄ちゃん、どうしてごめんなの?」
「……向日葵が泣きそうだったから」
「私が?」
「怯えるような目で見られて嫌がってると思ったら反射的に謝ってた。でも、本当にごめん。雰囲気に流されてこういうことするのいい加減自分で呆れてたのに止められなくって」
(?、呆れてた?前にもしたことがあるってこと?)
太陽の言葉に、向日葵は少し疑問を覚えた。しかし、思わず出たという太陽の「ごめん」は自分の考えていたごめんではなかったのだと言うことが分り、また、そういわせてしまったのは自分のビックリした気持ちがそのまま表情になっていた為だとわかって向日葵は少し太陽の顔を見るように視線を上げて呟く。
「……それじゃぁ、私もごめんなさいだね」
「え?」
「嫌だったわけじゃないんだ。突然で、少し怖かっただけなの」
「でも、怖かったんだろ?」
「ぅん…だって、本当に突然太陽兄ちゃんがあんなことしてくるから」
「だよな。自分で自分が嫌になるよ。雰囲気に流されたってロクな事にならないって知ってるのに」
ハァと自分の頭の上で溜息をつく太陽の胸に手を突っ張って太陽から離れた向日葵は、情けない表情で向日葵を見つめる太陽の肩に手を置き、少し中腰になってグイッと太陽を引き寄せた。
「え?わっ、ひ、向日葵?!」
バランスを崩した太陽は引っ張られるまま向日葵の胸の中に顔をうずめ、太陽の体重に押されるように向日葵の背中は後ろにあるベッドの端に凭れかかる。
やわらかい向日葵の胸の谷間にうずまった太陽の耳には、先ほどまで向日葵が聞いていたのと同じ、早鐘を打つようなドキドキとした鼓動が聞こえた。
「太陽兄ちゃん、聞こえる?」
「ん…すごいドキドキいってる」
「フフ、さっき太陽兄ちゃんの心臓も同じぐらいドキドキいってた。ねぇ、どうしてドキドキしているか分る?」
太陽は囁かれる向日葵の声と、耳から聞こえる向日葵の心臓の音に耳を傾けながらも、肌から直接感じている向日葵の温かさをもっと感じたいと向日葵の腰に腕を回して向日葵にぴったりと体をくっつける。
「私のドキドキは多分、太陽兄ちゃんのドキドキと同じよ」
「同じ?」
「うん。私ね……太陽兄ちゃんが好き」
「え?」
太陽の頭を抱え込むように更にギュッと腕に力を入れた向日葵は、今しかないんだと思い切って自分の思いを太陽に告白した。

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