雪華〜コイスルヒト〜

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

彼と私の関係 2

イメージ


次の日、少しは頭がハッキリしたような、けれどもまだ霞がかかったような体調。
体温計で熱を測れば、昨日寝るときよりは下がっているものの、やっぱり熱はある。
会社に電話で休ませてくださいと連絡すれば、二つ返事でOK。
少し前なら休むって言えば「君が来ないでどうするんだ」って言われたのに、そんな事が無くなった自分の今の状況に苦笑いを浮かべた。
外に出れる程度の服装で病院に行き、薬をもらって帰ってくるとやっぱり体が重たくて、着替える事無くすぐにベッドに横になる。
ボンヤリと天井を見上げて、フッと溜息をついた。
なんだか……自分が世界に取り残されて居るような、誰にも頼られることなく、誰にも必要とされていない、そんな空しさが自分の中で渦巻く。
たかが風邪にこんなにナーバスになるなんて、自分で自分が信じられなかった。
「……きっと、風邪のせいね」
頭の隅にある別の原因のせいだと言う事を認めたくなくって、声に出して風邪のせいだと自分に言って聞かせる。
全く、私は何処まで天邪鬼なんだろう。
ハァ〜と長い溜息をすれば、それと同時に私のお腹がグゥッと鳴った。
「こんな時にでもお腹がすくなんて、私の体は結構丈夫に出来てるのね」
確かに熱だけの風邪で吐き気も何も無いからお腹がすくのは当然なんだけど、間抜けなお腹の音に自分でも呆れる。
ゆっくり起き上がり、コンビニによって買って来たレトルトのお粥を皿に移してレンジで温め、食事をしてから薬を飲んだ。
そして、皿を片付ける事無く、再びモゾモゾと布団に潜り込む。
平日の昼間に家に居るなんて久しぶりだった。
テレビもついていない。
窓を閉めているから外の音も少しだけ入ってくるだけ。
静かな部屋は何だか徐々に私の心を小さくしていく。
大げさに言えば、何だか私はこのまま風邪をこじらせて1人で消えていくようなそんな感じ。
ま、風邪如きでそんな事は無いんだけど気分的にはそうってこと。
人の気配がかんじられない自分の部屋がこんなに寂しさを沸き立たせてくるものだとは思っても無かった。
シンと静まりかえった部屋の中、私は自分の心臓の音を聞きながら、いつの間にか頭の中では彼のことを考えている。
頭の中心では「来る訳が無い」って結論が出ているのに、頭の端っこの方でぼんやり「来てくれるかも知れない」と期待して。
時にその端っこにある考えが頭の中心にやってきて、ドキッと胸を鳴らす。
そんな私自身に溜息を1つ。
「……馬鹿なんだから」
そう呟いている素直じゃない自分に溜息2つ。
布団を頭までかぶって、真っ暗中、大きく深呼吸をした。
いつからだろう?私がこんなに素直じゃなくって可愛くなくなったのは。
突っ張って、人に頼る事をしなくなった。
自分が全てをやっている、もしくは、やってのけるんだと必死だった。
『必死』ってきっと『素直さ』を少しずつ変化させていくんだわ……多分。
今までの必死の自分を思い出す。
「……最低。私、全然可愛くなくって素直じゃないわ」
ポツリと呟いた自分自身の言葉に、ポロリと涙を流した。




イメージ上へ
イメージ イメージ イメージ

web拍手 "

応援ヨロシクです♪
inserted by FC2 system