彼と私の関係 5
陽子との約束の土曜日まで、風邪がぶり返す事もなく元気に過ごしたが、その間彼に会う事はなかった。
以前の約束の時の不安とは違い、少しだけ納得したような日々が続く。
私と言う人物は私が良く知っている。
彼はきっと私という人物にあきれ返ったのだろう……。
私の部屋を見れば女らしさのカケラもないのは良く分っただろうし、姿を現さないと言う事がそれを証明している様な気がしていた。
女らしさが彼を繋ぎとめるものではないと思う。
そんなものを望む彼では無いような気もしている。
けれど、どうしてだろう?私は多分、頭のどこかで男と言うものはそういうものだと思ってしまっているのかもしれない。
もちろん、彼が会いに来ないと言う以前に、私も会おうと言う努力をしなかったけれど。
彼に会ったあの道は通らないようにして、少し時間はかかるけれど遠回りをして通勤していた。
彼に会いたくないわけじゃない。会えればいいなと頭のどこかで思ってる。
でも、何故か会いにくいというか、会わないほうがいいと言う気持ちが私の中にあって、会いたいと言う気持ちがムクムク湧き上がってきたら(今更私が恋をしようなんて考えを起こす事自体がおかしかったのよ。会わないのが正解よ)と言い聞かせていた。
どうしてそんな事を思うのか、そんな行動を起こしてしまうのか、自分でも良く分らなかった。
土曜日。
久しぶりに会社以外のことでの外出。
少々着ていく服に悩んだが、余り気合を入れていくのもおかしいだろうと適当なワンピースを着て出かけた。
電車に乗って待ち合わせ場所に着けば、さすがは元学級委員長。
とっくの昔についてましたって顔をして待っていた。
「相変わらず早いわね〜。待ち合わせ時間10分前なのに」
「そういうアンタだって相変わらずキチンと10分前に来るわね」
クスクスとお互い少し年を取った変わらぬ姿に笑う。
暫く街をうろついて、買い物したりと楽しんだ後、2人でファミレスに入った。
喫茶店ではない所が学生時代からの友人って感じかな?
長時間、その場所を占拠しても何も思われず、お変わり自由なドリンクのある場所。
ファミレスに入れば何処のファミレスだろうと2人とも迷わず隅っこの窓際の席へと歩いていく。
席について、フリードリンクを注文し、私が紅茶、陽子がオレンジジュース。コレも学生時代と変わらない。
コクリと2人とも同時に一口飲んで、フゥっと一息。
「……で、そろそろ見せてくれるんでしょ?未来の旦那様」
私が切り出せば、陽子は本当に嬉しそうに、幸せそうにフフッと笑って携帯電話を開いた。
ピッピとボタンを押して、にんまり笑いながら携帯の画面を私の方へ向ける。
画面にはブイサインをしている少しまん丸な優しそうな男の人。
「へぇ〜陽子の趣味じゃないんじゃない?」
陽子は女の子にしては背が高く、口癖のように「絶対自分より背の高い男と結婚するんだ!」っていっていたのに、2人で写ってる写真を見れば、明らかに陽子の方が背が高くって、思わず私はそういった。
上へ
"
応援ヨロシクです♪