雪華〜コイスルヒト〜

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

彼と私の関係 6

イメージ


私の言葉に陽子はウンウンと一人勝手に納得したように頷いていう。
「人っていうのはね、みぞれ。時間と共に成長するもんなのよ」
「はぁ?何それ?」
「そりゃさ、学生時代はこの背の高さが嫌で、自分が小さく見える為に背の高い人!って思ってたけど、つまらない事だったのよね〜そんな事」
携帯電話を私の手からとって、フフンと意味深げに笑って続ける。
「彼とね、初めてあったとき、彼、なんていったと思う?」
「さぁ?」
「高い所の荷物はこれから陽子ちゃんに頼もう、その代わり、僕は低い所の荷物をとるよ!って言ったのよ」
「ま、正論じゃない?って低い荷物は陽子だって取れるけどね。それがどうしたの?」
「普通言わないでしょ?女の人にそんな事。私だってはじめは彼の言葉に何よ!ってちょっとムカついてたもん」
「あ〜ま、言われてみればそうかな〜?」
「でも、それって実は彼の優しさだったのよね〜」
陽子は頬杖をついて、窓の外をボンヤリ眺め、口の端にニンマリとした笑みを浮かべていた。
「優しさ?だって、ムカついたんでしょ?」
「はじめはね。でも接していくうちに気づいたのよ。背が高いことがコンプレックスだって見抜いてくれて、気にすること無いよっていってくれてるんだって」
「そう?」
「もう!わかんないかな〜?この彼の優しさが」
陽子の言ってる事が余り理解できず、首をかしげた私に視線を戻して、陽子は呆れたように言う。
「気にしてること言われたら嫌じゃない。ムカつくし……」
「だから、あえてそれを言ってくれる事が優しさだって言ってんの。はぁ、みぞれにはわかんないかな〜?」
サッパリですと言わんばかりの顔を恐らく私がしていたのだろう。
陽子は半分呆れたような顔をしながら、その後も幸せたっぷり詰め込まれた惚気話ばかりしていた。
ハイハイと適当に流して聞いていた私だったが、散々惚気た陽子がふと、真剣な表情になる。
「ねぇ、みぞれは誰かいい人いないの?」
急な問いかけに思わず飲みかけの紅茶を噴出しそうになったが、何とか堪えて聞き返した。
「急に何なの?」
「アンタってさ〜何時だって勉強勉強でやってきてたじゃない?今でもどうせ同じ感じなんでしょ?」
「……失礼ね〜私だって恋の一つや二つ」
「じゃ、今は?」
片眉を上げ、探るような視線を向けてくる陽子にチラリと視線を向けつつ、噴出しかけた紅茶を口に運ぶ。
『今は?』そう聞かれてなんて答えようか、必死で頭を動かしていた。
「答えられないって事は居ないって感じもするんだけど……ちょっと違うかな?」
私の様子に陽子はぽつりと言う。こういう時は長年の友人ていうのは不便ね。
チョットした仕草や行動でどんなに隠そうと思っても感づかれちゃうんだから。
観念した私はハァと溜息混じりに陽子に言う。
「陽子にはとぼけても無駄ね。気になる人がいないわけじゃないんだけど……」
私のその一言に、陽子の眼はランランと輝いていた。




イメージ上へ
イメージ イメージ イメージ

web拍手 "

応援ヨロシクです♪
inserted by FC2 system