疑弟〜ギテイ〜

<Sweet Orange Story

  Love 愛しき言霊>

過ぎし恋 3

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暫く走った車を雄介はショッピングモールの駐車場の片隅に止める。
「……雄介?」
サイドブレーキを引いた雄介は首をかしげる私に覆いかぶさるようにして私の背中に腕を入れ、その唇を奪った。
「ぅく……んンっ!」
ハァハァとした鼻息が私の頬に降り注ぎ、私の唇をむしゃぶりつくすように雄介の熱い唇は吸い付いて私の胸はドクンと大きく鼓動する。
どちらとも無く絡ませた舌が車内にチュッチュパという音を立てた。
私を包み込むように抱きしめてくれる腕の優しい力強さは以前と全く変わらない。
いつの間にか、私の腕は雄介の体に絡み付いて、互いに抱きしめあっていた。
どれくらいお互いの唇を貪っただろう……
雄介の体が私から離れ、互いの唇からは唾液が糸を引く。
「ずるいわ……雄介」
「ずるい?」
「私が弱ってるって分った上で優しくするんだもの……ずるいわ」
「だったら、おあいこだろう?弱い花梨を見て、俺がたぎらないわけがない……花梨も十分ずるいよ」
数センチ前にある優しい微笑みに私は思わず瞳から涙を流した。
雄介は何も言わず私を胸に抱きしめて、座席をたおし、倒れた座席を渡って後ろの座席に移った。
大きな車の後ろの空間はとても広く、雄介の胸に抱かれたまま私は肩を震わせる。
「……何があったんだ?」
「……」
「言いたくない事か?……なら無理には聞かない。想像もつく……」
「嘘、想像なんてつかないわ……」
「俺を侮るなよ。どうせ、司がらみの事だろう?」
「っ!!ど、どうして?!」
雄介の一言に私は驚いて顔を上げ、雄介の瞳を見つめた。

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