疑弟〜ギテイ〜

<Sweet Orange Story

  Love 愛しき言霊>

過ぎし恋 5

イメージ


「結婚……したんだ」
「結婚?……知らなかったわ」
「最近合併した先の娘だ。ハガキは送らなかったけど社報に載ったから知ってると思ってた……」
「社報……見ないのよ」
私の頬にある雄介の手を私は払うようにして雄介の体から離れようとしたが、雄介は私をさらに抱きしめて離さない。
「……離して」
「花梨と別れ、花梨の心が俺に帰ってくることは無いと知った後、俺は前から話があったその娘との見合いを了承した。娘を差し出してウチの会社から融資を受けるって言う話だった。親父がな……その娘を気に入っていたんだ。俺がずっと渋っていたが、俺が了承した途端、そのまま結婚まで流れて……俺は結婚した……。花梨を忘れる為に」
「……私のせいだって言いたいの?」
「そうじゃない……いや、そうかもしれないな……恨み言を言いたかったのかもしれない……。俺の中にいまだに存在する花梨に一言言いたかったのかもしれない」
雄介は微笑を浮かべて私をながめて、キスをする。
熱く、そして激しいキス。
キスをしたまま、雄介は運転席と後部座席の間にあるカーテンを閉めた。
スモークのかかった後部座席は少し暗くなる。
「ん……雄介……」
激しい口付けの隙間から私が言うと、閉じていた瞳を開き、唇同様にその視線を絡ませた。
熱い視線……
私が司以外に愛したただ1人の人の熱い視線と口付けは私から全てを奪っていく。
肩にヒンヤリとした空気が触れ、私の洋服はいつの間にか脱がされていた。
そして、パチンとホックが外れる音が耳に聞こえ、思わず私はブラジャーの上から胸を隠すように腕を組む。
「……花梨、どうして隠す?」
「だ、だって……」
「……ブラウスとその下着は捨てる……」
「え?」
雄介の吐き捨てるように言うその言葉に私は雄介を見た。

イメージ上へ
イメージ イメージ イメージ


web拍手 "

ぽちっとクリック応援よろしくお願いします♪

inserted by FC2 system