疑弟〜ギテイ〜

<Sweet Orange Story

  Love 愛しき言霊>

雄介の思惑 1

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雄介は小さく相槌を打ちながら私の話を聞く。
雄介にこんな話をするべきじゃないし、聞かせる話でもないとわかっていたが、何故か私は誰にもいわなかった自分の気持ちまで吐き出していた。
全てを話し終わったとき、私の頬には熱いものが流れ、雄介は私の瞳にキスをして溢れ出てくる熱いものを吸い取り、私をギュッと力強く抱きしめて言う。
「なるほどな……。で、花梨は逃げ出してこの支社に来たってわけか」
「逃げるって……」
「違うって言うのか?」
真っ直ぐ私を見つめてくる瞳に私の顔が映りこんでいるのを見て、その瞳に私は頷く事も首を振ることもしなかった。
逃げている……確かにそうだと思う。
だから首を振らない。
でもそれを肯定したくなくって、頷く事もしない。
そんな私の気持ちを見透かしたのか、雄介は私の唇に触れるか触れないかと言う程に顔を近づけて言った。
「そうして逃げても……何も手に入れることは出来ないって、お前が一番良く知っているはずだが?」
「……知らないわ」
そっと私は視線と、顔を背けてそういったが、顔を完全に背ける前に私の唇を雄介の唇が捉える。
慰める為の優しいキスかと思ったが、そうではなかった。
激しく、まるで責め立てる様な……熱いキス。
私は唇から伝わり、喉に流される唾液からもその熱さを感じる。
その熱さに体の芯まで溶かされる様な気がして、思わず身を捻ったが、抱きしめている雄介は私が逃げる事を許さない。
「んふぅ!ンっ……んくっ」
数度、喉を上下させて体の女の部分が疼きを覚え始めた時、雄介は私から体を放し、私を自分の目の前に立たせた。
疼き始め、熱さにボンヤリしてきている私は、ふらつきながらもその場に立って雄介を見つめる。
「雄介?」
「意地っ張りの嘘つきにはお仕置きが必要かな?」
「え?」
チラリと、呟いた雄介を見れば、そこには優しいいつもの笑顔があって、私は首をかしげた。



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