疑弟〜ギテイ〜

<Sweet Orange Story

  Love 愛しき言霊>

揺れる花梨 7

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震える私の体を一度、ぎゅっと抱きしめた雄介は私をソファーに座らせ、呆然としている司の目の前に立つ。
(雄介?何を?)
私が首をかしげて見ていると、雄介は司にニッコリ微笑んだ。
「な、なんだよ……」
「少し、静かに見ててもらおうかと思って」
「静かに?見るって何を…うっ!」
司が言い終わらないうちに、雄介は司と唇を重ねる。
「ちょ、ちょっと、雄介?!」
驚いて言う私に、同じように驚く司。
でも雄介は私達の驚きは無視して、唇を重ねたまま驚く司の両腕を後ろに回して牛丼の入っていたビニール袋で縛った。
両手を縛りおえた雄介が司から離れれば、キッと司が雄介を睨みつける。
「てめぇ!何をした!!外せよ!」
後ろ手に縛られた司はバタバタと暴れながら雄介に怒鳴りつけたが、雄介はニッコリ微笑んで司を見つめた。
「あまり暴れないほうが良いぞ。ポリ袋が指に食い込んではずしたくてもはずせなくなるから」
「ふ、ふざけんな!!」
「ふざけてない。お前が眠るまでまだ時間があるから、その間暴れられても困るから縛っただけだし」
「ね、眠るってなんだよ?!」
雄介の言葉に眉間に皺を寄せるようにして怒鳴る司。
その様子をみて、仕様が無いなとため息混じりに雄介は司が持ってきた旅行鞄の肩掛け用の紐を鞄から外して、司を体育座りさせ、その紐で両足首を縛る。
「足まで?てめぇ!!」
暴れる司の頭をコツンと軽く叩いて、雄介は私の隣に座りジッと、司を見つめた。
司もまた、雄介を睨みつけ、その視線はその後ろに居る私にも浴びせられているようで、私は思わず司からは見えない雄介の背中をぎゅっと握って呟く。
「雄介、あんなこと。外してあげてよ」
「ん?あぁ、ダメ。静かになるまではね」
「静かにって。何かしたの?」
「フフン、俺の飲んでる薬を飲んでもらったんだ。ただ、効くまで時間がかかるから、暴れないようにって縛らせてもらった」
「く、薬?」
「あぁ、怪しいヤツじゃない。ただの寝不足気味な俺に良く効く軽い睡眠薬」
そういって私に笑顔をみせる雄介の考えていることが全くわからず、私はただ、雄介を睨み付ける司の瞳から隠れるように雄介の背中の影に体を入れていた。




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