くちづけ

<Sweet Orange Story

  Love 愛しき言霊>

ゼロと零那 1

イメージ


湯船に半分ほどお湯が溜まればそっと左足から狭い湯船に体を入れて、徐々にしゃがみ体育座りで湯船につかる。
フゥと一息つける唯一の時間。
昼も夜も私の心はどこか緊張していて、その緊張は私の体の筋肉まで締め付けていた。
右手でお湯をゆっくり左腕から肩にかけ、その暖かさを体全身に確認させる。
自分の体に視線を落とせば鎖骨から胸、足の太腿に赤い斑点が見え、そっとその痣を指でなでて確認した。
「全く、どうしてこうも主張したがるのかわからないわ」
ロクなテクニックを持たず、私を満足させすらしてないのに、私の体にその印を刻む男達。
体質的に内出血が治り辛いから本当を言えば痕をつけられるのは大嫌い。
じゃぁ、どうしてつけさせているのか……。
それは男の嫉妬心を煽る為。
もしかしたら自分が前につけた痕なのかもしれないのに、男は私の体に残る薄黒い時間が経過した印を見ると自分の物とさらに主張したがる。
その独占欲を無言で煽っているの。

そうよ、私と男の間には計算しかない。
私の計算と男の計算。
私と男の違いは男の計算は私に全てバレバレだって言う所。

フフッと嘲笑をして、私は湯船から出て、ボディーソープで体を洗う。
力任せに扱われた自身の体を労わるようにそっと優しく泡で洗って流したらもう一度湯船に浸かり良く温まった。
タオルで体を拭くと、裸で風呂場を出る。
どうして裸なのかというと、服を着て出てもどうせ脱ぐ事になるから。
お風呂を出てからの1時間は肌のケアに費やす。
若さを保つとか、皺を気にしてとかではなく、明日またゼロを名乗る為。
男は知ってるかしら?
十分に濡れていないのに乱暴に出し入れされたり、力任せに指を差し込み中を掻き混ぜる事がどんなに女の体を傷つけているか。
痛んだ体を綺麗にケアしてあげなければ、その痛みは更にひどいものになる。
「フーそれにしても、今日の男は最悪だったわね」
ジンワリとした痛みを訴える膣道に透明のジェルを手に取った指を差込んだ。


イメージ上へ
イメージ イメージ イメージ

web拍手 "

ポチッと応援よろしくお願いします♪
inserted by FC2 system