くちづけ

<Sweet Orange Story

  Love 愛しき言霊>

欲と男と嶺 7

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「ちょっと、それでもイイ所のお坊ちゃんなの?」
女に与えるとは思えないほどに大きなステーキ肉がブラブラとフォークに刺さっていて、上品さのかけらもない行動に私がため息混じりに言えば、嶺は何がと言った風に首をかしげる。
「なんだ?イイ所のお坊ちゃん?俺のことか?」
「貴方以外に今ココに誰がいるっていうのよ。スイートを自分の住居代わりに使ってるんでしょ?」
「まぁ、確かに住居代わりというのはあっている。役所に届けている住所はココではないからな」
「だったら、お坊ちゃんって言う表現でいいでしょ。なのに、レディに対してこんな大きなステーキ肉を無造作に差し出すのはどうなの?」
「食えるだろ?それぐらいの大きさ」
フフンと笑って言う嶺の顔になんだかムカッと来て、じっとりとした視線を向けたまま私は別の料理に手を伸ばした。
まったく、私を女と思ってないのかしら?まぁ、娼婦と位置づけてる時点で見下してはいるんだろうけど。
パンをちぎって、口に運んだ私の目の前に再びステーキ肉を差し出す嶺。
「何?」
「食わないのか?うまいぞ?」
「だから、そんな大きなのはいらないっての。せめて半分に切ってくれてもいいんじゃない?どんなに見下すのも結構ですけど、せめて女扱いぐらいはしてくれる?」
「なら、名前を言うか?」
「ハァ、またその話?しつこい男は嫌われるわよ。といっても、私は当に貴方なんて嫌いだけど」
「そうか、嫌いか……」
「貴方を好きだと言う人がいるならあってみたいくらいにね」
私から嫌いと言う言葉が出ると、まるで小さな子が沈み込むように途端に顔に影が差し、瞳が悲しげになった。
でも、演技かもしれない。そう思った私は態度を変えずフンと言い放つ。
一瞬、私から視線をそらした嶺だったが、次の瞬間にはあのえらそうな笑顔を取り戻して、私を見つめた。
「そうだな、食わないのなら食わしてやろう」
「必要ないわよ。食事ぐらい一人で出来るわ」
「女として扱ってやると言ってるんだ」
クククと笑った嶺は持っていたフォークを私の口に向かって突き立てる。
ポタリポタリとステーキソースが滴り落ちて、私は大きな声を上げた。
「ちょ、ちょっと!汚れるじゃない!マナーって言葉を知らないの?!」
「汚れたからなんだ?これはお前の服じゃないだろ?」
白いバスローブにソースのしみが広がり、その滴りは嶺の手の動きに合わせて、バスローブの隙間から少し覗いた私の内腿に数滴落ちた。
油を含んだソースはゆっくりと私の太腿にカーブをえがいて下へと向かう。
少し生暖かくぬるりとしたソースは私をゾクリとさせた。
嶺にわからないようにふき取ろうと手を伸ばしたが、その手は嶺の空いている方の手で押さえつけられる。
フォークに刺さっただらしないステーキ肉は、ソースをさらに私の胸の谷間等にたらして上へと上ってきた。
「一体何様?」そう私が口を開こうとしたとき、無理やりステーキ肉が放り込まれる。
言葉も出せないまま、口に入ってきたステーキ肉の端にかぶりつけば、だらりと私の口からステーキ肉が垂れ下がった。


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