くちづけ

<Sweet Orange Story

  Love 愛しき言霊>

欲と男と嶺 9

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(落胆?どうして……)
自分の感情が分からない、どうして落胆するのか?
そんな私の感情を察しているのかいないのか、ジッと私を上目使いで見つめて嶺の顔が下がっていく。
その顔の動きに私は思わず太腿に力を入れて、両足を閉じようとしてしまった。
(しまった!)
思わず現れた羞恥の行為に口をゆがませてしまう。
剥がれ落ちようとしたゼロの仮面を慌ててもう一度かぶったが、時はすでに遅し、観察力だけはある嶺は私の行為と表情を見逃すはずも無かった。
「生意気なだけの女というわけでもなさそうだな」
嶺の言葉は静かだけれど冷たいというわけでもなく、どちらかと言えば暖かささえ感じる。
でも、それが逆に私にゼロの仮面をさらに深くかぶらせた。
「当たり前でしょ。女はね、いくつもの顔を持っているものよ」
「では、その顔を俺に見せろ」
「命令は嫌い」
視線をそらして、生意気に言えば嶺は何事も無かったかのように、再び私の足を開こうする。
無理やり足をこじ開けられることは慣れているはずだった。
けれど、何故か今日はそんな気分にならず、嶺の力に反発させる。
「娼婦でも、足を閉じようとするのか。誰にでも開いてきた足だろう?」
「気分じゃないわ。知らないの?女ってそういうことをする時は雰囲気を大事にするのよ。もう少し女を学んでから出直したほうがいいんじゃない?」
「知っている。もしかして、俺が女を抱いたことが無いと思っているのか?」
「あら、あるの?それにしては扱いがなってないと思うけど?」
「山ほどある。俺ほどの男を放っておく女はいない」
「自信家も嫌い」
「嫌い…か、そういう女が俺は好きだ」
ドキッとさせることを言う男だ、そう思った。
山ほど女を相手にしてきたのは本当だろう。女の心をつかむやり方は心得ているし、なれたキスがそれを物語っている。
けれど、それは普通に生きてきた普通の女性を相手にしてのこと。
私には不似合いな言葉にキス。私は自分がどんな女であるか心得ている。
そう、ゼロである限り、私は普通の女ではないし、男の前で【零那】が顔を出すことは無い。
微動だにせず、嶺を見下ろす私の視線に自分の視線を絡ませて、嶺は反発している私の足を力任せに無理やり開いた。
バスローブから徐々に太腿が顔を出す。
肉汁で汚れた太腿のさらに上、もうすぐ、下着もつけていない足の付け根が現れそうになる所で手は止まった。


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