仮面屋 1
カロンカロン……。
おや? お客様ですか……、いらっしゃいませ。
えぇ、営業中ですよ。
この店に休業日などございません。
どうぞどうぞ、奥まで……。
何も無いと驚いておいでですね。
ご心配なく、ちゃんとした店でございます。
ただ、その辺にあるお店と一緒にされては困りますが……。
この十字街の店はちょっと違います。
私の店はコレを扱っております。
そうです。仮面。
ココは仮面屋。
アナタに合った仮面をお探しする場所。
希望が叶うかですって?
ご冗談をおっしゃってはいけません。
思う通りにことを進めたいとご希望であればお隣の石屋にお行きください。
え? 隣に店など無かった?
そうでしょうねぇ。
アナタが用事があるのはこの仮面屋であって石屋ではございませんから。
それに、この店だってアナタは今まで感じた事は無かったでしょう?
クスクス……。
この十字街には多数の店が存在します。
しかし、どの店に入るにも、その資格を持った者しか出入りできないのですよ。
そう、求める者しか入れない。
おや? 帰られるのですか?
まぁ、それも選択の一つ。別に無理に止めるつもりはございません。
ただ、契約をしなければ二度とこの仮面屋に訪れることは出来ません。
これ限り。
それはそうでしょう?
アナタは選ばれた権利を放棄するのですから。
そうですね。
運がよければこの十字街に来街し、別の店に来店する事もできるかもしれませんが、もう私とアナタがお会いする事は無いでしょう。
いかがなさいます?
ココで帰られるのも。
ココで仮面を見ていかれるのも。
どちらもアナタの選択。心次第。
さぁて、アナタは何を求めます?
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