十字街

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

仮面屋 2

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〜〜Act 1 〜〜
狭山高校二年 瀬戸鈴(17歳)
「鈴! 鈴!!」
「はぁ〜い! なぁに? お母さん」
「鈴、悪いんだけど、母さん、ちょっと今度の土曜日、仕事が入っちゃったのよ」
「え? 今度のって、土曜日は私の試合があって、応援に来てくれるって……」
「そうなんだけど、どうしても仕事があっていけないのよ」
「そんな……」
「しようがないのよ。分ってくれるわよね? 鈴?」
「う、うん! お仕事だもん! しかたないよ。体に気をつけて、お仕事頑張ってね!」
「ありがとう! 鈴。鈴ならきっと分ってくれると思ってたわ。私の自慢の娘ですもの」

「瀬戸さん」
「はい、先生」
「ちょっと、このプリントを教室にもっていって皆に配ってくれるかしら? あと、次の授業でつかう資料を資料室から取って来ておいてくれる?」
「あ、でも、あの…」
「あら? 何か他に用事でもあるの?」
「えっ……い、いえ! な、無いです」
「そう、じゃ、お願いできるかしら」
「はい!」
「やっぱりクラス委員ね、助かるわ。それじゃ、頼んだわよ」
「はい……、先生」

「鈴〜〜!」
「ん?」
「ね! 今日の数学の宿題やってきた?!」
「う、うん、やってきたけど」
「やりぃ!! ちょっと見せて! 私、今日当たるんだ〜」
「え……、でも」
「良いじゃん! 減るもんじゃないんだから!!」
「あっ……」
「おぉ、さすが良い子ちゃん♪ 全部やってあるじゃん。あぁ、鈴が友達で本当に良かったぁ。サンキューね」
「良い子ちゃんって、そんな言い方……」
「ん〜? 何か言った?」
「う、ぅうん。何も」

「あ、チョット見てみてぇ、可愛くない?」
「可愛い〜!! ね? 鈴?」
「う、うん。可愛いね〜」
「皆でおそろいにしようよ。ストラップ」
「良いねぇ、あ、じゃ、私はコレ」
「んんっと、じゃ、私はコレで。鈴はコレで良いよね? ハイッ! これ」
「えっ? うん……」
「あ〜〜!!」
「どうしたの?」
「ん、お金が足りなぁい。ヤダァ、欲しいのにぃ……。あ、そうだ! 鈴、ちょっと貸して」
「わ、私? ……だってこの前も」
「まとめて返すから! ね? おねがぁい」
「いいじゃん、返すって言ってんだから貸してあげなよ」
「そう、そう! 頂戴って言って無いし、貸すだけじゃん」
「……はい、コレ」
「サンキュー♪ まとめて返すから!」
「ん、分った……」

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