十字街

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

……幕

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人は……
自分だけを見つめた時。
その瞳が果たして正しいものか、それとも間違っているものか余り深く考えないもの。
己の都合の良いように。
己が一番になるように。
何よりも自分が、誰よりも自分が……
そういう思いが生まれ、広がる。
己を優れていると、驕ることは悪いことじゃない。
己が劣っていると、嘲ることは悪いことじゃない。
そう、「ない」には様々な事がある。
他人を見下してはいけない。
蔑んではいけない。
罵ってはいけない。
盗んではいけない。
自分が存在し、この世界に生きているのであれば……そんな気持ちがうまれないことは無いだろう。
その気持ちと自分が見つめあえるか……それだけ。
君は……
自分が誰よりも不幸だと思っているかい?
アナタは……
自分が誰よりも優れていると思っているかい?
残念だけど……
そういう時、君の目の前にはきっと、見たことも行ったこともない街並みが見えるだろう。
ことさら紅く、既に太陽は沈んでいるにもかかわらず、空にその紅い存在を残していった夕焼けと、夕焼けに焼かれた黒い街。
無数の店があるにもかかわらず、訪れた君はただ一軒にしか立ち寄ることは出来ない。
君と言う存在を待ち構えているその店には、必ず1人の店主が居るだろう。
「いらっしゃいませ」
その一言から、君の君によるドラマが始まる。
店はきっかけ。
1つの鍵を与えるに過ぎない。
その鍵でどのドアを開いて、どの道を進み、どこに行き着くのか……
舞台の幕は上がる。
シナリオを書くのは君。
しかし、演出するのは……
いつかどこかで出会えるかもしれないアナタへ。
「アナタのお越しを心よりお待ち申し上げております」
ククク…………。


*:.。..。.:*  【十字街】 Fin

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