ma・ke・ko・i 〜負恋〜

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

今時の… 5

イメージ


ちょうど半期の締めのときがやってきていつも以上に忙しく働いていたある日、珍しく如月が顔を出す。
如月も忙しかったのだろう、少し顔に疲れを見せながらやってきて、ハァとため息混じりに私のデスクの横にしゃがみこんだ。
「先輩〜、この書類にハンコお願いします」
「あら、珍しい。仕事でくるなんて」
「私だって給料分の仕事ぐらいしますよ〜。ってこの一週間は給料以上の仕事やってますけど」
「当たり前でしょ。締めの時期なのにいつもと同じ仕事量だけされて帰られても困ります」
「うべぇ〜、相変わらず先輩きつい〜」
だらりとデスクに頭をつけてため息をつく如月の目の前に判を押した書類をぶら下げ、私が咳払いをすれば少し照れ笑いをしながら如月は立ち上がる。
「疲れるのは分かるけど、皆同じなんだからだらだらしちゃダメよ。伝染しちゃうでしょ」
「は〜い」
「返事は短くはっきりと!」
「ハイ!……所で話は変わりますけど先輩、その後どうですか?」
突然の話題変更は如月の得意技。
少し何が?といった風に首をかしげて如月を見れば、如月は少しかがんで私の耳元でコソッと呟く。
「彼氏、できました?」
「あぁ、その話」
「…もしかして、ダメだったっていうより、やってないんじゃないですか?」
「そういう如月はどうなの?」
「全然ダメです〜。なんというか私とつりあう人が居ないって感じで」
「フフ、いうわね〜どちらかといえばアッチから断ってくるんじゃないの?如月の無理難題に答えられなくて」
「…分かります?何だかね〜そんなに難しい事言ってないと思うんですけど皆、君にはついていけないとかいって会って3回目でお別れってパターンを繰り返してます」
「あって間もないのにブランド物をねだられたら引くでしょ普通」
「え?!どうして分かるんです?」
「はぁ〜如月、アンタ本当に底が浅い」
自分に素直な如月の事だからそんな事じゃないかと思ったけれど、まさか当たるとは思わず苦笑いしてしまった。
「如月の場合、もう少し意外性があれば男なんていちころだと思うわよ」
「いちころ!マジですか?!」
「見た目、ブランド物とか好きな派手な女って言うイメージがあるからこそ、そういうのを強請るとやっぱりこんな女かって程度が低く見られるのよ。少し猫かぶって見たら?おとなしくして、ニッコリ影で微笑む感じにすれば意外性で興味をもってくれてもう少し続くわよ。如月にだっていいところはあるんだからソコを見てもらわずに別れるのは癪でしょ?」
「ふ〜ん、意外性か〜。先輩って恋して無いようで意外にわかってるんですね〜」
「…馬鹿にするなら相手になるけど。仕事量2倍になる事覚悟してる?」
「うっ!アハハ、私、自分の所に戻らないと〜じゃぁ、先輩、失礼しました〜」
書類の束を見せてニッコリ微笑んだ私に、早めに退散するのが得策と思った如月はそそくさと自分のもってきた書類を抱えて自分のデスクへと帰っていく。
まぁ、そういう単純と言うか扱いやすい所が如月の可愛い所なんだけど。
クスッと微笑んだ私は内心、如月の追及を受けずにすんだとホッとしていた。




イメージ上へ
イメージ イメージ イメージ

web拍手 "

ポチッと応援お願いしますイメージ

inserted by FC2 system