くちづけ

<Sweet Orange Story

  Love 愛しき言霊>

ゼロと言う女 1

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「今度は来週の水曜はどうだ?」
「……いいわよ。んじゃ、来週の水曜日ね」
私の目の前で男は背広を来てそういった。
そして、私もまた、その男の言う事にうなづく。
背広を綺麗に整えた男は、ベッドの端で裸のまま足を組んでタバコをふかしている私に近づいて私の唇にキスをしようとする。
「ん?」
私は男の唇に手を当ててそれを拒んだ。
「言ったでしょ、キスは無しよ」
「……分らないな」
「そう?」
「体はいいのにキスがダメなんて」
「クスッ、男には分らない事なのよ……多分ね」
男の肩に手を置いてベッドから立ち上がり、全裸である事も気にせず男の視線を背中に浴びたまま、椅子にかけていた下着をつけはじめる。男がフッと笑った。
「何?」
「いや、お前はいつでも白い下着だなと……」
「あら、いけない?」
「お前には似合わないよ」
そういった男の言葉に私は苦笑し、フッと呟く。
「男って馬鹿ね」
「え?」
「……何も言って無いわよ」
「そう?」
「えぇ、言って無いわ」
聞き返す男に背中でそう言い、机に置かれた5万円を自分の財布にしまいこんで私はチラリと視線を男に向けた。
「じゃ、来週水曜日にね」
「服を着たらサッサとお別れか?」
「それくらいが丁度良いのよ」
ニッコリ満面の優しい笑顔を男に向けて私はその部屋を出る。


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