アナタがいたから…

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

オセロな気分 4

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「ちょ、ちょっと、どうしたのよ。2人共」
私が驚いて言えば、オルタはニィと口の端を上げて微笑みながら私の肩にすとんと座って、尻尾を首に巻きつける。
「闇に当てられておるのだ」
「や、闇?闇ってアンタが背負ってる不気味なヤツ?」
「ククク、不気味か。中々いい表現だ」
「でも闇って侘瑠火の使う力と同じでしょ?どうしてアンタが闇の力を持っているの?まさかアンタ侘瑠火の?」
「……侘瑠火に、闇の力に会うたのか?」
「会ったって言う言い方が正しいかどうかわかんないけど」
以前、耀君のお母さんに出会ったときのことをオルタに話し、オルタはそれを聞くとフフンと鼻息を鳴らした。
「なるほど、そういうわけか」
オルタは1人勝手にコクコク頷いて納得し、一向に説明しようとはしてくれず、私はムッと口をゆがめる。
「ちょっと、私に分るように説明くらいしてくれてもいいんじゃない?」
オルタが私の方をみて質問に答えようとしたとき、ドサリと床に倒れこむ音がして視線をやれば、アーリーさんが真っ青な顔をして倒れ、同じく青い顔をした零凛が苦しげにオルタを見た。
「オ、オルタ様、どうか……」
「おぉ、そうじゃったな。では場所を変えよう」
オルタがそういうと、私の首に巻きついていたオルタの尻尾がシュルシュルと伸び、私の体全体を包み込んで白く発光し始める。
「場所を変えるって?」
「この場はアーリーによって形作られた空間。我の力の全ては出せぬ。本来なれば我の力の全てを出さずともよいのだが、どうやら新たなる光麗はそうも行かぬようだからな」
「……それは欠陥品ってのと関係があるってこと?」
「フフフ、よく自分を分っているな。その通りだ」
「で、もろもろの説明は?」
「後ほどしてやる。零凛、少々お主の子孫、預かるぞ」
「は、はい……よろしく、お願いします」
零凛が苦しげに頭を下げると同時に私の目の前はフラッシュをたかれたときのように光が瞬き、目の前がクラリとして、瞳を反射的に閉じた。
なんだか高熱を出した時のように頭の中心が揺らされる感じが暫く続いた後、ふわりと体が浮いて手首と足首に何かが巻きつき、私は固定される。
「何?」
私が驚き言えば、肩にあった重さがどこかへ行って、クスクスと笑う声が聞こえ、その声は反響して何人もいるかのよう。
「もう目を開けてもいいニャよ」
その声にゆっくり瞳をあけると、元の姿に戻ったオルタが相変わらずのにやけ顔でコチラを見ていて、私はといえば、白と黒の縞模様の太い組紐で蜘蛛の巣に引っかかったように宙吊りにされている。
「姿が戻ると言葉使いまで戻るのね……ってか、この状況はどういうこと?やっぱりアンタ侘瑠火の」
「フン、あんな底の浅い連中と一緒にするニャ。失礼だニィ。それに、アンタじゃニャくてオルタだニャ!」
「はいはい、じゃぁ、オルタ。侘瑠火じゃ無いとして、コレはどういう事?」
「言ったはずだニャ。お前は光麗としては欠陥品ニャ。今からその欠陥を取り除くのニャ」
全てが白黒の、まるでチェスの箱の中に閉じ込められたかのような空間で私に向かってにやける、その猫モドキは楽しそうにフンフンと下手くそな鼻歌を歌いながら尻尾を揺らしていた。


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