空と太陽と向日葵と…

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

すれ違う思い 3

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「……何なのよ、勝手に怒って勝手に電話切って……」
その後、何度も向日葵は泰子に電話をかけたが、泰子が出る事は無く、そのうち、電源を切ってしまったのか繋がらなくなり、向日葵は溜息をつく。
「なんだか……太陽兄ちゃんが帰って来てから何もかもがおかしくなっちゃったみたい」
ベッドの端に腰掛けて、ケータイを見つめたままでいると、メールが届いた。
「……メール。誰?」
【明日だけど、11時頃に駅前でどう?昼ご飯食べて、映画館行かない?】
「そっか……メールくれるって言ってたっけ。コレも泰子が教えたんだろうな……」
泰子と喧嘩をし、そして、気乗りのしない誘いを受けようとしている自分に溜息だけがあふれ出す。
『気に入りもしてないなら一応キープみたいな真似はやめてよね』
頭の中にさっきの泰子の声が響いた。
(キープ……そうね、そうかもしれない。太陽兄ちゃんに恋人が居るから、あきらめる為に好きだともなんとも思ってない葛木君を利用しているのかもしれない)
ケータイを握って、断わりのメールを入れようとしたとき、トントンっと雨戸が叩かれる音がして、向日葵はビクリと体を硬直させ黙り込んだ。
静まりかえった部屋に雨戸を叩く音と一緒に声がする。
「向日葵、居るんだろ?」
静かな太陽の声が小さいけれど雨戸から聞こえてきて、向日葵は布団に潜り込んだ。
「向日葵……そっか、雨戸を閉めたってことはそうじゃないかと思ったけど……嫌われたかな?」
(太陽兄ちゃんの馬鹿!嫌うなんて……そんな事!)
「無理強いはするつもりは無いけど1つだけ」
(……)
「別に瞳は俺の彼女って訳じゃないからな……」
(え?!)
「じゃ、おやすみ……」
太陽の言葉に驚き、カタンと窓ガラスが閉じられる音がしても、向日葵は布団から抜け出せずに居た。
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