空と太陽と向日葵と…

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

揺れる心 5

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瞳を閉じたままでいる向日葵の頬を遼の手がゆっくりと優しくなで、薄く瞳を開いた向日葵の顔を自分に向けて、遼はそっと呟くように言う。
「きっとさ、俺が光田さんを見つけられたのはそう言う事だと思う。光田さんの事が好きで、何時だって俺の目は光田さんを見てきたから」
「葛木君……」
「光田さん……ぅうん、向日葵がドコにいても見つけられる自信が俺にはあるよ」
ジッと見つめたまま、一度は「光田さん」と言った遼は、一瞬考え直して「向日葵」と言った。
熱い視線を送られた状態で言われる「向日葵」と言う自分の名前は、太陽に呼ばれるのとは違ったドキドキを沸き起こし、向日葵の胸はキュッと熱くなる。
向日葵の顎に当てられていた遼の左手は向日葵の肩にまわされて、遼は向日葵を軽々と持ち上げ、自分の膝の上に座らせた。
まるで座ったまま横抱きされているような状態になって、戸惑う向日葵の体全てを包むように抱きかかえた遼。
向日葵はなされるまま、体を預け、肩に額をつけて頭をもたれかけ、遼の胸に手を置いた。
手にはドキドキと早く鼓動する心臓の振動が伝わってくる。
(凄い……私もだけど……)
遼の腕に力が入り、遼の体に向日葵の体が押し付けられるほど、向日葵は温かいものに包み込まれているようで、ドキドキしながらもなんだか安心できるような、そんな感覚に温かさを求めるように自ら体を密着させた。
肩にもたれ掛る向日葵の髪の毛から香るシャンプーの匂いが遼の鼻をくすぐり、向日葵の熱い息遣いは遼の首筋に当たる。
思わず遼はグイッと抱きしめる手の平に力を込めた。
「ぁんっ……」
あまりの力強さに向日葵が思わず声を漏らすと、遼はその声にドキンとする。
ずっと、見つめて、その姿を見ているだけだった存在の向日葵が今、自分の近くにいて、しかもその腕の中に抱きしめて。
腕の中の向日葵は抵抗する事無く、自分に身を預けている。
ゴクリと唾を飲んで、遼は自分の中に閉じ込めている向日葵の体の温かさを感じながら、向日葵の少し桃色に染まった顔を眺めた。

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