空と太陽と向日葵と…

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

傷心 3

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向日葵は自分が思わずとってしまった行動に、どうすればいいのか分からず、自分の鞄を胸に抱きしめた状態で立ち尽くす。
この状態をどうすればいいのか、考えても何も思い浮かばない。
ただ、意識もしていないのに体が後ずさって、カラオケの個室のドアが背中に当たった。
「あ、あの……ち、違うの……えっと……」
「……うん、分ってる」
しどろもどろにその場を取り繕おうと言葉を発したが、少し悲しそうな笑顔で頷いた遼を見て、向日葵の心が締め付けられるほどに痛くなる。
(わ、私……何て事したんだろう……)
後悔をしても始まらず、小さな溜息ついて自分に笑顔をむけ「俺も悪かったんだ、コッチおいでよ」手招きする遼を見て、またズキンと心臓が痛んだ。
「ほ、本当にごめんなさい!」
向日葵はその場にいることができず、背中にドアノブが触れて、思わずそういい、部屋を飛び出す。
「あ!向日葵!」
後ろで遼の声がして、ドアが閉まる音がしたが、向日葵は振り向く事無くただ全力でその場から逃げた。
(ごめんなさい……ごめんなさい、ごめんなさい!)
走りながらただ、向日葵は心の中で謝り続け、人にぶつかろうと気にせず走る。
向日葵は自身が遼に行なった全ての自分の行為が卑怯で、最悪な行為だとわかっていて、自分が最低最悪な人間に思えていた。
(寂しいから甘えたくせに、いざとなると逃げ出すなんて……最低だ……)
人通りの多い駅前のエリアを抜けて、自分の家の近くになって初めて止まって振り返る。
遼が追いかけてきていないことを確認して、ホッと胸をなでおろし、向日葵はそんな自分の行動にまた、嫌悪感が生まれていた。
(……本当に最低だ……私)
なんだか胸が痛くて、とにかく家に早く帰りたくて、向日葵はまた走り出す。
暫く走って、もうすぐ自分の家につくと言うところで、向日葵は何かにぶつかり、反射的に謝った。
「ご、ごめんなさい……」
「……向日葵?」
「え?!」
自分の名前を呼んだその声に驚いて顔を上げた向日葵の眼には太陽がいた。

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