空と太陽と向日葵と…

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

私と言う自分 2

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丸くて大きくて、皺が刻まれた祖母の手の温かさを感じながら、祖母の体にコツンと頭をつける。
そんな向日葵の様子にニッコリ微笑んだ祖母は優しく語りかけた。
「なぁ、向日葵、人任せにして上手くいくこともある。でもな、自分が今どうしたいのか、自分から進んで行かんと何も変わらんで。自分の気持ちに素直に、後悔しないように、進んで行かんとな〜」
「自分の気持ちに……素直に?」
「そう、素直に、思うままに……ただし、それで人を傷つけたらダメじゃ。ちゃんとソコには優しさが無いとな〜」
「難しいな……」
「フフフ、難しいか……かもしれないのぉ〜だからこそ、悩むんじゃ……」
祖母の手は向日葵の手を包み込んで、キュッと少し力を込められる。
向日葵はチラッと祖母の横顔を見つめた。
「ねぇ、お祖母ちゃん……」
「ん?」
「自分の気持ちがわかんない時は?」
「そうか、そこでも迷っているんじゃな?……そうじゃな〜表面の目の前の事を考えないで、本当の自分の心の底に思ってることを考えてみたらどうじゃ?」
「心の底……よく、わかんないよ……」
「そうじゃのぉ〜じゃぁ、瞼を閉じて。そして、自分の周りの人の顔を1人1人思い浮かべてごらん」
向日葵は祖母に言われるままに瞼を閉じ、祖母から父母、友人と言われた通り1人1人思い浮かべる。
祖母の顔でホッとして、康子の顔でムッとして、遼の顔で胸がキュッと痛み、そして太陽の顔でドキンと胸が鳴った。
「……その顔を思い浮かべて感じた感情が向日葵の今の気持ちじゃ」
「お祖母ちゃん……」
困惑した顔を向ける向日葵に、祖母は向日葵の頭を優しく撫でてそっと囁く。
「自分の気持ちが分ったら、どうすればいいか、それは分るじゃろ?」
「わ、分んないよ……どうすればいい?」
「自分が後悔しない様にすれば良い。例えどんな結果が待っていても、こうしておけば良かったなんて後悔をしないように……」
「しなけりゃ良かったって後悔したら?」
「それはたいした後悔じゃないじゃろ?やったからこそ結果が出たんじゃから。やっておけばよかったと言う後悔は、もう2度とそんな事はできないからずっと引き摺る。でも、やらなきゃ良かったって言う後悔はそれだけで終わる」
祖母の言う事に頷いた向日葵。
祖母の言った事は半分ぐらいしか理解できなかったが、それでも、自分の気持ちがどういうものなのかは分った気がして、少しだけ、心が楽になったような、そんな感じになっていた。

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