空と太陽と向日葵と…

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

私と言う自分 3

イメージ


祖母と話した夜。
向日葵は自分の布団に転がって、そっと目を閉じた。
瞼の裏に太陽の顔が映し出されれば心臓が急に暴れ始める。
コンビニで見たキスシーンを思い出せば、涙が自然に流れた。
(……分ってた。どんなに諦めようと思っても諦められるわけ無いって事……だって、こんなに心が動くのは太陽兄ちゃんだけなんだもん)
寝返りをうって、うつ伏せになり、太陽の香りのする枕に顔を埋めて深呼吸をする。
(葛木君に悪い事してるな……康子の言う通りだもん……謝らなきゃ)
チラリと近くにおいてある電源の切られたケータイに手を伸ばし、向日葵は1週間ぶりにケータイの電源を入れた。
途端にケータイが騒がしくなる。
「……すごいメールの数」
何通ものメールが受信画面にあらわれて、その差出人は全て同じ。
【葛木遼】
思わず向日葵の口からは溜息が出ていた。
逃げる事が良い結果を生まないのは分かっていたくせに逃げてしまった事に溜息が出ていたのだ。
メールの内容は他愛の無い内容だったが、今日に近づくにつれ、返事が欲しいと言う内容が含まれるようになっていっている。
「当然だよね……ずっと返事して無いんだもん」
何度か電話もしたのか、【電源切ってるの?】と言う内容もチラホラ見られ、向日葵は祖母の言っていた事が少し分った気がした。
電源を切るんじゃなかった。
そんな後悔が向日葵の中に生まれ、遼のメールに割いた時間を取り戻せない事に申し訳なさでイッパイになる。
キュッと電話を握り締めて向日葵は決心した。
「キチンと返事をしよう……電話でちゃんと言わないと……」
何度か深呼吸をして、震える手で着信履歴から遼の番号を選んで電話をかける。
なんとも言えない緊張が向日葵の呼吸を荒くした。
「もしもし?向日葵?」
少し明るい遼の声が聞こえて、向日葵の胸は苦しいほどに痛くなる。
「ごめんね、夜に……今、いいかな?」
向日葵の声のトーンが沈んでいるのを感じた遼は不安で胸がドキドキしていた。

イメージ上へ
イメージ イメージ イメージ

web拍手 "

応援ヨロシクです♪イメージ
inserted by FC2 system