空と太陽と向日葵と…

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

2人の時間 3

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そんな向日葵の顎に手を置いて、クイッと自分の方を向けさせると、太陽はもう一度向日葵の唇をふさぐ。
先ほどとは違う、少し情熱的なキスに向日葵の心臓はドクンと跳ね上がった。今まで付き合ってきた男の子とは全然違う、少し手馴れたキス。
瞳を閉じれば頬に太陽の呼吸が当たり、本当に太陽とキスしているんだと意識して向日葵の心臓は破裂するんじゃないかと思うくらいにドキドキと高鳴る。
慣れていたはずのキス。向日葵は彼氏に体を許した事はなかったが、その代わりとキスだけは許してきていた。
挨拶代わりから、男と女の関係になろうと企むキス、ぎこちない、手馴れたそんな色んなキスを経験してきていたのに、ただ、唇を重ねられただけで向日葵の体は筋肉が緊張しとても硬くなっている。
初恋の人とのキス。それだけで向日葵の心はまるでそれがファーストキスのように新鮮でドキドキしていた。
自分の唇を徐々に湿らせ、揺れ動く太陽の唇にされるがままとなっていた向日葵の体の力がゆるりと抜け始めたとき、太陽の唇が離れる。
ンフッと少し色っぽくなってしまった自分の呼吸に少々顔を赤らめて向日葵はポツリと呟く。
「あったかいな…」
そんな向日葵の呟きに優しい笑みを口の端に浮かべた太陽。
「向日葵が【太陽兄ちゃん】って呼ばなくなってからにしようと思ってたんだけどな」
太陽の言葉に向日葵はぎゅっと抱きついた。
「ずっとね、私は妹で居なきゃいけないんだって思ってた」
「うん、俺も一緒だ。向日葵が【太陽兄ちゃん】って呼び続ける限りお兄ちゃんで居てやらなきゃいけないと思ってた」
「でもね、お祖母ちゃんが自分に素直にならなきゃダメだって教えてくれて、私も後悔したくないって思ったの。例えどんな結果になっても前みたいに何も言わないまま突然太陽兄ちゃんが居なくなるのは嫌だって」
「そっか、それじゃ俺より向日葵のほうがずっと偉いな」
「ううん、そう思ったけど結局中々勇気が出なかった」
フフッと太陽の胸の中で小さく笑った向日葵は「あっ!」と小さく声を上げてグイッと顔を太陽の顔に近づける。
急に目の前に迫ってきた向日葵の顔に後ろに少しのけぞった太陽はジッと自分の瞳を見つめる向日葵の視線に首をかしげた。
「な、何?どうかした?」
「太陽兄ちゃんズルイ!」
口を尖らせアヒルのようになった向日葵の言葉にさらに太陽は首をかしげ「何が?」と聞けば、太陽の首に腕を回してしがみつき、耳元で向日葵が恥かしそうに深呼吸をしながらいう。
「返事……、聞いてないよ」
「返事?」
「もぅ!私、ちゃんと勇気出して言ったでしょ?」
ぴったりと自分に体をつけて少し震えて言ってくる向日葵に好きだといったことの返事を求めているんだと気づいた太陽だったが、耳元で緊張のあまり深呼吸をし続ける向日葵の態度が可愛くて少しからかいたくなってきた。
「言った?何を?胸があるってことか?」
「ち、違うよ!ほら、言ったじゃん。さっきの事なのにもう忘れたの?」
「う〜ん、もう一度言ってくれる?」
「そ、そんな……」
向日葵を抱きしめ、耳元に優しく言ったが向日葵はその体をビクンと揺らして黙り込んでしまい、暫く沈黙が続いて、太陽がそっと向日葵の耳たぶに唇をつける。
「言ってくれないと、向日葵の体中にキスしちゃうぞ?」
いたずらにそういった太陽の唇が耳から首筋へとゆっくり降りていくのを感じ、向日葵は小さくと息を漏らした。

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