空と太陽と向日葵と…

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

通じた気持ち 2

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「太陽兄ちゃん、こういうのって『痴漢』っていうんじゃないの?女の子に嫌われるよ」
向日葵が真っ赤になりながらもフンとそっぽを向いて言えば、太陽はクククと堪え笑いをする。
「な、なによぉ〜」
「いや、そういうところは相変わらずだなって思ってさ」
「相変わらず?どういうこと?」
「昔っから向日葵って、嬉しいのに嬉しくないって怒鳴って、怖いのに怖くないって言ってだろ?思ってることと反対の事をするの。変わらないなって」
「そ、そんなこと…ないもん」
「へぇ、せっかくデートのお誘いにきたのにそんな言い方するのか。じゃ、俺のことを痴漢なんて言っちゃうヤツは放っておいて、でかけようかな〜」
「え?!デ、デート?」
デートと言う言葉に、そっぽを向いていた顔を太陽のほうに向けた向日葵の様子にニヤっとした太陽。
その太陽の微笑を見て、向日葵はアッと小さく声を漏らした。
「ほら、やっぱり『相変わらず』だろ?」
「酷い、嘘ついたのね!」
ムッと口を尖らせて、また太陽の頬を抓ろうと手を伸ばした向日葵の背中に腕を居れ、抱き起こすように太陽は向日葵を抱きしめる。
突然の事に驚いて体を固めた向日葵だったが、密着させた胸や腰から伝わってくる太陽の温かさに、緊張はすぐにほぐされ、太陽の腰に腕を絡ませた。
自分の口元にあるピンク色になった向日葵の耳に向かって太陽が囁く。
「嘘じゃない」
「え?」
「本当にデートに誘いに来たんだ。休みももうすぐ終わりだろ?」
「うん、休みはもうすぐ終わりだけど。でも、どうして?太陽兄ちゃん、どっかいっちゃうって事はないんでしょ?」
太陽の言葉に少し不安を覚えた向日葵が、よりギュッと太陽を抱きしめて言えば、太陽がコクリと頷くのがわかった。
「何処にも行かないけど、休みが終わったら先生と生徒になっちゃうだろ?」
「あ、そうか。太陽兄ちゃん、私の学校に来るんだった」
「そうなったら、こうやって向日葵の部屋や俺の部屋で会う事は出来ても、外でそんなに会えないだろうから」
「……そうだね、ウチの学校、そういうの厳しいもんね。でも、お隣さんだって言えば大丈夫なんじゃない?」
「お隣さんっていうのは嫌だ」
向日葵の提案に迷うことなく即座に言ってきた太陽に向日葵は少し首をかしげた。
どんな理由でも二人でいれる理由があれば良いんじゃないかとおもった向日葵の提案だったけれど、それを否定され、そんなに自分と一緒の所を見られたくないのかと向日葵は少し気持ちが沈む。
「どうしてだって聞かれたら、向日葵は俺の彼女だって言いたいから」
「太陽兄ちゃん……」
沈みかかった心だったが、太陽に一言に少し明るくなった。
それと同時に、少しだけ太陽が自分を好きだということが夢のような感じだった向日葵の気持ちが一気になくなり、本当に自分は太陽と気持ちが結ばれてるんだと嬉しく、大きな太陽の胸に耳をつけ、心臓の鼓動に耳を済ませる。
ドクドクと早い心臓の音を聞きながら向日葵はフフッと微笑んだ。
「太陽兄ちゃんの気持ちは嬉しいけど、でもそれって、お仕事優先って感じがする」
「何言ってんだ、俺の仕事がなくなったら結局困るのは向日葵なんだぞ」
「え〜?どうして?」
「無職の彼氏が結婚相手でいいのか?」
「うっ…それは嫌かも…」
「ククク、だろ?だったらお仕事優先でも我慢しろ。その代わりといっちゃなんだけど、二人っきりの時は…覚悟しろよ」
ニヤリと笑う太陽の微笑に、向日葵は小さく聞こえない程度の声で「太陽兄ちゃんのエッチ…」と呟きながらますます顔を赤くした。

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