十字街

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

仮面屋 14

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「良い事を教えてあげようか?」
<良い事? ヒントとか?>
「クスクス、本当にアナタって面白いわ。ヒントなんて教えるわけないじゃない」
(本当にムカつかせるわね……)
声の態度に私はまたイライラとした感情を抱いて、ムッとした感情のままブツリと言う。
<じゃ、何よ?>
「【答え】を見つけるのにアナタはゆっくり考えようとしていないでしょうね?」
<……ゆっくりとは思ってないけど。(でも、【答え】を見つけない限り体はアナタの物だもん。ゆっくりとかの前にいつになるか分らないって言う方が正しいわ)>
「そう、それは良かったわ。アナタに与えられた期限は一週間。昨日から一週間後まで。それを過ぎればアナタはアナタの仮面になるわ」
<1週間? 良い事ってそれ? 何よそれ、全然良い事なんかじゃないじゃない! 期限があるなんて……。それに、私が私の仮面ってどういうこと?>
「だから、それはアナタが答えるべき回答。私の答えるべきことじゃない」
<ムッ、またそうやって逃げる気ね?>
「そう思うんだったらそう思っときなさいよ。本当ならこんな事教えてあげるなんて事しないのよ? なんだかアナタって鈍いんだもん。私ってばとっても親切よね〜。感謝して欲しい位よ?」
(感謝? 感謝って何よ……。勝手に私の体を使ってるくせに……)
フフッと微笑んで、感謝と言う言葉を出した声にイライラをつのらせて私はそう思い、さらに期限があると告げられた事で心臓がドキドキと焦り始めていた。
三時間目が終わった……。
私はその【答え】の手がかりも小さなヒントすらつかめないまま無駄な四十五分間を過ごした。
ただ焦っている自分をなだめる為に使ったような四十五分間だった。
(【答え】、【回答】【解答】【返答】……答えにも色々あるわ、でも、問題すら出してもらってないんだもん。返答ってことなのかしら? でも、返事しようにも呼びかけてもらって無いわ……)
「……ホント、鈍いのね」
一生懸命考え、頭の全部を使って考えをめぐらせている私にまた、声の呆れたような口調が響いた。
一瞬、その言葉にムッとしたものの、取り合うことも馬鹿馬鹿しいと思い返して、考えに専念する。
取り合わない私にさぞかし悔しがるだろうと思っていた私だったが、声はその私の様子にクスリと笑い少し嬉しそう。
(何なのよ……。意味わかんない)
「そうよ、今のアナタに私を理解するなんて無理だわ。残念ね」
クスクスと笑う声の感情が私の心を乱し続ける。
(ダメよ、どんなに構ったって声は私にヒントなんてくれない。構わずに考えるのよ……)
自分自身にそう言い聞かせ、私は心の隅っこに気になって仕様が無い声の態度と言葉を押し込めてグッと考えに集中する事にした。

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