十字街

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

仮面屋 15

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そんな時、声である私に声がかかる。
「……戸さん、瀬戸さん?」
十分休みに廊下に出て友人たちとお喋りしていた私は呼びかけられた声に振り向いた。
そこに立っていたのは担任でもあり、次の生物の授業を担当する女の先生。
声は楽しい会話を邪魔されて凄く不機嫌に返事をした。
「……はい、先生?」
「ちょっと、このプリントを教室にもっていって皆に配ってくれるかしら? あと、次の授業でつかう資料を資料室から取って来ておいてくれる?」
笑顔で言う教師の要求はいつもの事。
【言えば必ずやってくれる】そう思われてるんじゃないかって思うほど、顎で使われてる様な気がしてた。
そう、いつも私は「はい、わかりました」そういって引き受けるから。
でも声は違った。
あからさまに不満を口に出す。
「えぇぇ、どうして私なんですかぁ」
(凄い)
率直な感想だった。
私には決して言えないだろう言葉。そして、ずっと言いたかった言葉。
いとも簡単に声はその言葉を口に出した。
先生は「え? 」と一瞬、私のあからさまな態度にたじろいたが、すぐに溜息をつきながら言う。
「どうしてってクラス委員長でしょ?」
「クラス委員長だけど雑用係じゃありませぇん」
「どうしたの? 瀬戸さん、なんだかいつもと違うわね?」
「そうですか? ん〜、じゃ一皮向けたとか?」
声の言い分にきっと先生は怒るだろう、私はそんな事を考えながらドキドキと、する必要のない緊張をしていたが、先生の口から出た言葉は私の予想を裏切った。
「まぁ、いいわ、ずっと大丈夫かしらと思ってたけど、そこまで明るく一皮向けたんなら」
(……どういうこと? 何を言ってるの?)
私は益々混乱した。
まぁいいわ?
大丈夫かしらと思っていた?
何を言っているの?
先生が私に無理やり今まで頼んでたんじゃない!
嫌だとは言わなかった、でも、先生がやれって言うから!
「資料は私が持っていくけど、プリントだけは配っておいて頂戴」
「えぇ〜」
「ダメよ。コレはクラス委員長として当然のお仕事です!」
「はぁい」
声は不貞腐れながらプリントを受け取り、先生はその場を笑って後にする。
「鈴、災難〜」
「仕様が無いよ、クラス委員長だからね〜」
「手伝ってあげるぅ、半分頂戴!」
「あ、私も〜」
「んじゃ、これよろしく〜」

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