十字街

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

仮面屋 21

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数日の間、私は私なりの【答え】を五回ほど彼女にぶつけていた。
しかし、彼女は【正解】の一言は言ってくれない。
もう既に期限の半分が過ぎようとしている。
私にはあと二日半しかなかった。
(……まさか本当は【答え】なんて無いんじゃないでしょうね)
「疑り深いわね〜。嫌われるわよ、そういうの」
<また人の考えを勝手に>
「仕方ないでしょ? 私はアナタなんだから。アナタが認めたくなくてもね。【答え】はちゃんとあるわよ。アナタが【正解】を導き出していないだけ。私がイジワルしているわけじゃないわ」
<本当かしら?>
フンと疑った口調で言う私に彼女はクスクスと楽しそうに笑う。
「アナタもそんな風に言えるようになってきたのね。上々と言ったところかしら? でも、それだけじゃ駄目だわ……」
<言ってる事が意味不明よ? 嘲る様に言われて何が上々なのよ……>
「あら、そう? でも言ってる事が問題じゃないわ。アナタがそういうことを言えるようになったことが上々といってるの。今までのアナタならそんなに事私にだって言えなかったでしょ?」
確かに、彼女の言う通りだった。
今までの私ならきっと【我慢】して思うだけに留めていたはずだわ。
「ねぇ、どうして【我慢】しなかったの?」
<わ、わからないわ。考えて言ったことじゃないもの……>
「そうでしょうね。考えないから【我慢】しなかった……。それは正しい応えだわ」
<正しい応え?それって【答え】と何か関係があるの?>
「クスクス、それはアナタが探すべきものでしょ?」
フー……私は溜息をついた。
いつだって彼女は肝心な所になると笑ってはぐらかす。
この数日間ずっとこんなやり取りをしてきた様な気がする。
こうなると彼女はまるで悩む私を楽しむようにクスクスと笑って、一切私の問いかけには答えてくれなくなるんだ。
<まぁ、いいわ>
私はゆっくりと自分の中でもう一度考える事にした。
今まで出してきた私なりの【答え】は全て【不正解】だった。
だとしたらその考えは全て捨て去らなければならない。
全てを捨て去った後、残るのは……。
【私自身】
私自身?
私の事なのに答えが私自身?
どういうことなんだろう?
私自身……。
【私】……。
あれ? 【私】って何だろう?
今まで余り考えた事は無かった。
私はどういう人物?
あれ?
私は私がわからない?
そんな分けない。だって自分の事よ? 自分自身の事じゃない……。
おかしいわ。
私は【私】を考えてみよう。
初めてそう思い出した私は自分の中の自分について考え出した。

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