十字街

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

仮面屋 23

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自分を考える事がこんなに難しい事だとは思っても居なかった……。
他人のことを考え、思うよりも難しい。
でも、考えていて一つだけ分かったことがある。
私は私が良い子である事を自分自身で選んで自分でそうなっていった。
他の誰でもない。
私は私自身を良い子に作り上げていったんだ。
時間と言うのはあっという間に過ぎるものなのかと今更ながら思っていた。
期限は後一日。
私は考えていたが、いつの間にか考えは考えでなくなっていた。
【答え】はもう出ている。
私はそこに至るまでの方程式を作っている最中だった。
<あぁ、そうか……>
私がポツリと呟くと、彼女はそれに気づいて話しかけてきた。
「そうかって言った? 【答え】が見つかった?」
彼女の問いかけに私は一瞬、言う事を戸惑ったが、深呼吸をして彼女に言う。
<【答え】は見つかったわ。コレが【正解】だと思える【答え】が>
「そう、それは何? もう期限が無いわよ?」
<うん、分ってる。でも、答えるかどうか、それは凄く迷っているわ>
「あら? どうして? 言わないと私がアナタになって、アナタが消えるわよ?」
そうね、その通りだと私は思った。
でも、私はそれでもいいと、その時は思い始めていた。
答えないまま、期限が切れても良いと思っていたけれど、それでは今までの私となんら変わりない。そう思って彼女に私は話す事にした。
<ねぇ、これは【答え】じゃないけど、聞いてくれる? 今まで気づかなかったことが分ったの>
「ふぅん。何が分ったの?」
<私は私が作り出した私自身の責任だという事がわかったのよ……>
「へぇ、そう……。今までの【答え】とは違うのね」
<……今までの【答え】が正解しないはずだわ。全然違うんだもの……私がこうなったのはお母さんのせいじゃない。先生のせいでも友達のせいでもない。私のせいだった>
呟くように静かに言う私の言葉に彼女は何も言わなかった。
しかしその雰囲気は今まであった呆れた様な、嘲笑うような雰囲気は一切無い。
本当にただ静かに私の言葉を聞き、待っている。
<私を作ったのは私だと、そう気づいて、今までの事を色々考えたわ……。アナタの言葉の一つ一つを繰り返し頭の中に思い浮かべて>
そう、私は【自分を作り上げるのは自分】だと気づいた時、今まで小難しく考えていた【自分を考える】事をやめ、もうひとりの私である【彼女を考える事】にした。
彼女の言葉、彼女の行動、そして……、そこから生まれる周りの反応。
彼女の中に居る事で私はそれまで見えなかった全ての事を見てきた様な気がする。
ううん、違う。
見えなかったんじゃない、見ようとしなかった事全てだ。

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