十字街

ふぅ〜暇だね〜。

最近の人間たちは欲が無いのかね〜。

商売上がったりだよ……。

いいね〜仮面屋は客が来たようだ……。

ったく、暇は一番嫌いだよ。

は〜溜息しか出ないね〜。

ま、商売とは言うものの私が貰うのはお金じゃないけどね……ククク。

しっかし、本当に客が来ないね〜。

一昔前は仮面屋なんかより引切り無しに客が来たもんだが閑古鳥だね。

どんよりとしたフツフツと湧き出るようなそういう欲望とそろそろお目にかかりたいものだが、最近はどうしたんだろうね〜。

小さな幸せってヤツばかり追いかける輩が多くていけないね。

まぁ〜それでも構わないから不幸を望む小さな幸せってヤツは無いのかねぇ。

おや？

フフフ、やっとだね、やっとこっちに客が入ってきそうだ。

良いだろう、店の鍵を開けてやろうじゃないか。

黒々とイイモノを持っているイイ奴だ。

ククク、久しぶりだからね。

サービスしてやろう。

カタン……。

や〜いらっしゃい。

あぁ、店の雰囲気が暗いのは我慢しておくれ。

私は明るくテカテカと照明で飾り立てるのは好きじゃなくってね。

そうだよ。ココは店さ。

店に見えないかい？そりゃアンタの見た目だろう？

主人が店といえば店なんだよ。

ククク、今、ムッとしたね。

店員らしからぬ態度だと……。

いいんだよ、私はアンタみたいな人間を相手にする商売だ。

ココは石屋。

お前の望みをかなえるお店だよ……。