十字街

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

鏡屋 2

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〜〜Act 3〜〜
事務社員 加藤なつき(28歳)

「……あれ?私……ココ何処?」
いつも通り、会社の写真を写真屋さんに出して、必要な事務用品を買って……そして、いつも通り何事も無く会社に帰っていたはずなのに私は全く知らない見たこともない通りに立っていた。
「早く帰らないとまた課長に怒鳴られちゃう……」
ただでさえ、ブスだの使えないだの嫌味を言われているのに、またコレで遅れて帰ろうものならどんな嫌味が待っているか……。
早く帰ろうと思えば思うほど、ココがどこなのか分らなくって私はどんどんパニックになっていってしまう。
(えっと……えっと……そうだ、誰かに聞けば)
そう思って見回してみても人影は一人も無く、自分の長い影だけが地面に落ちていた。
「あぁ、どうして昼なのに誰も居ないのかしら?」
自分で呟いてハッとする。
そう、確かに私はお昼休みが終わってすぐに会社をでて、用事を済ませていたはず。
なのに、今、私は夕暮れの中に居る。
「え?ど、どういうこと?私そんなにボケッとしてたかしら……ううん、違うわ、幾ら私でもそれくらい分かるもの」
オロオロとして周りを見れば、どうやらココの通りはお店が並んでいる様子。
「そうだわ。お店の人に聞けば……」
私は近くの店のドアの前に立ち、ドアを開けようとノブに手をかけた。
ガチャン!!
「え?」
どのお店もまだ夕方だと言うのに、一向にドアノブが空く事は無く、その扉は固く閉ざされている。
(どうして?……)
数件回ってみたが扉が開く店にたどり着けず、大きく声を出して呼びかけ、扉を叩いてみるが誰も出てこなかった。


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