十字街

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

鏡屋 3

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「こ、困ったわ……どうしよう」
半分泣きそうに呟いて1つの店の前にへたり込んだ私の2軒向こうにある店のショーウィンドウがぼんやりと光る。
「!!。あの店は人がいるんだわ!!」
私は急いで立ち上がり、こけそうになりながらもその店の自動ドアの前に立った。
ウィン……
自動ドアはスンナリと私の体重で扉を開き、ドアのチャイムがピンポンピンポンっと鳴っている最中に私は店内に向かって言う。
「す、すみません!誰かいらっしゃいますか?!」
「……居るに決まってるだろう」
「ご、ごめんなさい……」
私の声に店の奥の方から男の人の呆れたような声が答えた。
私はその男の人の呆れたようにいう声色にビクリと心臓を鳴らし、思わず、謝罪の言葉をだす。
「……別にキミが謝る事じゃない」
暗い店内からゆっくりと現れたその男の人は褐色の肌に、輝くように滑らかな銀色の髪の毛をしていて、とても美しい青年。
私は視線をそらせ、下を向いてその男性に言った。
「あ、あの、私迷ってしまったみたいで……帰りたいんだけどココがどこかもわからなくって……道を教えていただけませんか?」
「……そう、それは大変だったね。とりあえず、中に入って落ち着いたらどうだい?」
「いえ、道さえ教えていただければ……急いでるので」
「ふふふ、そう言わずに。さぁ、どうぞ」
「あ、いえ、私は迷ってきてしまっただけ……」
下を向いてボソボソいう私の言葉をはっきりとした口調で男性が阻んだ。
「迷ったんじゃない。キミはココに来るべくしてやってきたんだ。そして、その目的はこの俺の店……」
「え?」
驚いて顔を上げた私の目に、にこやかに笑う男性の微笑が焼きついて、私は手を引かれるまま、店内の椅子に腰を下ろした。

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