ma・ke・ko・i 〜負恋〜

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

36歳の憂鬱 2

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考えてみれば、この年になるまで可愛い女だったことは無い様な気がする。

甘える事は悪いこと。そんな気持ちが何処かにあって、甘えた事なんて仕事でも私生活でも無い。
そうね、立派に一人で生きてきたわね。
寂しい時はたまにはあったけど、でも1人は気が楽だし、働いていると1人の方が良いと思うことの方が多かった。
築20年、最近のデザイナーズマンションとは程遠い、古い2DKのマンションの一室。
狭い我が家。
仕事で疲れて帰って来て、1人で気兼ねのない部屋にバッグを放り込み、スーツを脱ぎっぱなしてサッサとシャワーを浴びる。
スーツは6日分。
鴨居に月曜日から土曜日分までかかっていて、着終えたスーツは部屋の隅にまとめられ、日曜日にまとめてクリーニングに持っていく。
下着は洗濯機の中に入って夜中に洗濯。
勿論、部屋干しで、部屋に干されて乾いたものを身につけ、空いた場所に洗濯機から取り出した物を干す。
洋服ダンスはあるけれど、平日の、仕事が忙しい時に開いた事は余りない。
洗濯ロープに引っかかっているハンガーやパンチがタンス代わり。
出しっぱなし、脱ぎっぱなし。
そんな、片付けなどしなくて良い部屋は私にとって最高のお城だった。
颯爽と会社を歩き、仕事をこなす私を見て、誰がこんな自宅の状況を思い浮かべるだろう。
きっとこんな生活だなんて誰も思いもしないわね。

フーと大きな深呼吸に似た溜息を吐いて、私は今日も疲れた体をベッドに横たえて、立派に散らかったこの部屋で眠るのだ。


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