ma・ke・ko・i 〜負恋〜

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

36歳の憂鬱 6

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「……どうかした?」
「う〜ん、何ていうか私には佐藤先輩が言ってることが分んなくって」
「え?」
「だって、佐藤先輩は十分綺麗だし、可愛さが似合わないだなんて思えないから」
彼女の言葉に今度は私がビックリしてしまう。
まさかそんな言葉が返ってくるなんて思っても居なかった。
真剣な眼差しを向けて、真っ直ぐに言う彼女の言葉に思わずドキドキと心臓が鼓動し始め、仕事以外で久々にあせりを覚える。
残りのエスプレッソを味わう事無く流し込んだ。
「わ、私には可愛いなんて似合わないわよ」
「そうでしょうか?」
「そ、そうよ、似合わないわ……それに綺麗でもないんだから」
「何言ってるんです?スッゴク綺麗ですよ」
彼女が私におべんちゃらを言う事は無いと言うのは、この3年間ミッチリ教育してきた私が一番良く知っている。
だからこそ、私の焦りは、ドクンドクンと早鐘を打つ心臓と一緒に早くなった。
「つまらないこと言ってないで。さ、行くわよ」
「つまらない事って。あ、先輩!」
私は顔が熱くなってくるのを感じて、支払いの伝票を手にサッサと席を立つ。
彼女は慌ててオレンジジュースを飲んでつまづくように私の後ろをついてきた。

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