後輩の優しさ? 9
パソコンを触って設定し終えた彼女は「よし!コレでOK!」と一人納得し「先輩、くれぐれもこの事は2人の秘密ですよ」と念をおして帰る。
「くれぐれも…」そんな念を押されなくても誰にも言うつもりはない。
私がこんなのに登録してるなんて言ったら、アラフォー女が家では彼氏探し、結婚相手探しに必死になってるって思われるに決まってるもの。
「そんな事、情けないったらありゃしないわ」
フゥと溜息をついて、床に寝転べば、テーブルの上にある、まだ起動状態のパソコンの液晶画面が目に入った。
チラッと視線をその画面に走らせ、ゴロンと横になってパソコンに背を向けたが、何だか液晶画面にジリジリと見つめられているような、変な圧迫感とチョットした興味に私は体を起き上がらせてパソコンの前で頬杖をつく。
身分証明を送ったばかりで受理されていないから、見れる画面は少ししかないけど、ポインターを動かし、お試し検索をした。
希望年収、趣味趣向、短所長所……様々な検索項目があり、入力して検索ボタンをポチッと押せば、お試しの数人の検索結果が画面に現れる。
「……ふぅ〜ん、結構利用する人っているのかしら?」
職種も、所在地も様々な人が写真ではなく、似顔絵で表示された。
「この似顔絵だって、似てるなんて分らないから当てにはならないわ。やっぱりこういうのに頼るのって変よ」
明らかに少し興味を持ち始めているのに、そんな事無いわよと言う風に私はつい装ってしまう。
意地っ張りなのか、体面を気にしすぎるのか……。
自分の家だからそんな事しなくて良いのに、自分の本心を隠そう隠そうとして、そんな自分を一番分ってるのは自分で。
そんな自分を見つけた瞬間、私は自分自身にあきれた溜息をつくのだ。
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