ma・ke・ko・i 〜負恋〜

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

弱いのは? 3

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「せんぱ〜い!ねぇ、先輩ってば!」
(あ〜……やっぱり見つかったか)
出勤時間を変えて、朝から忙しい振りをして、更にコソコソと昼食に出てきたのだが、目ざといと言うかなんというか、とうとう如月に捕まってしまった。
観念して足を止め、溜息混じりに振り向けば期待に目を輝かせた如月が走ってくる。
(全く、分りやすくって、可愛いわね……)
小さな深呼吸に似た息を吐き、次に如月の口から飛び出してくるだろう質問に答える為に微笑した。
「何?」
「もう!先輩、何?じゃないですよ!どうでした?」
「どうでしたって?」
ワザとはぐらかしてみれば、如月の表情はめまぐるしく変わる。
期待に輝いてた顔が一瞬呆け、最後にムッと口を尖らせた。
「む〜!さては見てないんですね!約束したのにぃ〜!!」
「ククク、そう怒りなさんな、見たわよ」
「本当ですか?!で、どうでした?」
不機嫌な表情は私の一言でパッとまた輝く。
目の前にいるのは【とても可愛らしい女の子】恋愛系の話が大好きで、好奇心旺盛な。
(私も、昔はこうだったのかしらね……)
すっかり社会人になってしまっている私は人前でこんなに感情をあらわに顔に出す事は無い。
笑顔を出すとしてもニッコリお上品に微笑むし、不機嫌って言う感情もあまり出さないように気をつけている。
勿論、涙を見せる事なんて絶対しない。
ある意味、個々まで自分の感情を体で、表情で表すことのできる如月が羨ましいと思うこともある。
けれど、私にそれが出来るかって言うと……もう絶対に無理ね。
フーと溜息をついた私は、いつまでもロビーで話すわけにもいかないと、とりあえず、如月を食事に誘って外に出た。

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