雪華〜コイスルヒト〜

<Sweet Orange Story

  Life めぐり会う言霊>

彼と私の関係 3

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薬のおかげか、結局3日ほど家の布団でミノムシ状態で寝て体調も回復。
用心の為に4日目の休みの連絡を会社に入れた。
もちろん、2つ返事でOK。この状況もさすがに4日も続けばなれてくる。
必要とされていないって落ち込むことも無く、きっと、今の私と仕事の関係はそれ位が丁度いいのかもしれないと思うようになった。
冷凍保存していた食パンを取り出して、凍ったままトースターへ。
こうすれば食パンがべたつく事無く綺麗に焼きあがる。
1人暮らしを初めてきっと私が一番上達したのは、料理でもなく、掃除なんかの家事でもなく、多分、冷凍庫の使い方ね。

パンが焼けるまで久しぶりにテレビをつける。
今まで寝込んでいたって言うのもあるけど、殆どベッドの中で暇な時間は買ったまま読まずに居た本を広げて読んでいた。
はじめは静か過ぎて、外の雑音が少々響くこの空間がイヤだったけど、人間って凄いわ。
ほんの数時間でその状況になれちゃって、かえって煩いのが嫌になっていた。
体力がなくなっているって言うのがちょっとお風呂に入ってわかったから、それ以降は寝て過ごそうと思ったのもあって、テレビはつけてなかったのだ。
流れてくるニュースに『続報』ってやつが殆ど無くって、「へぇ〜」って思う報道ばかり。
ぼんやりテレビ画面を見つめて世の中の出来事って言うのは意外にも流れるのが早いと感じてた。
「チン!」
トースターが私を呼んで、いつも使っている皿にのせ、ペタリとテレビの前に座り込み食パンの角をかじる。
テレビの画面では報道が終り、芸能情報が流れていた。
ボンヤリと眺めている私の頭の中にあったのは彼のこと。

この数日、彼は一度も私の家にやってくる事は無かった。
そりゃ、彼氏ってわけでもないし、どこぞの女が風邪をひいたからって、仕事もあるだろう平日にやってくるわけもないんだけど。
ただ、少しだけ、本当に少しだけ、ベッドで寝ながらも来てくれるかもしれないって期待してた。
本当に現金だって自分で自分が嫌になる。
「……そういえば、また連絡先聞くの忘れちゃった」
何度も何度も聞こうと思うのに、聞けていない。
そういえば、彼も私が知りたいって分ってるはずなのに、言おうとしない。
「どうして?」
初めて、その事に気がつく。どうして彼は言おうとしないんだろう?
「もしかして、彼は待ってるの?」
彼の口ぶりから私はどう考えても彼と会っているし、知っている。
彼は私が彼のことを思い出すのをまっているのだろうか?
「……だとしても、ヒントぐらいくれたっていいじゃない」
そう愚痴った私の頬は勝手にプクッと膨らんで、フン!と鼻息を飛ばしモソモソと食パンを完食した。





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