疑弟〜ギテイ〜

<Sweet Orange Story

  Love 愛しき言霊>

失望  3

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「疲れた……」
ポツリとそう呟き、資料棚にコツンともたれ掛った時、目の前がフッと曇り、顔の前に缶コーヒーが差し出され、驚いてその腕の先を見た。
そこには私の隣の部署の新入社員の男の子が立っている。
「どうぞ」
「え、あ……ありがと」
私がコーヒーを受け取ると、その男の子は私の隣に腰を下ろして、ニッコリ微笑みながら話かけてきた。
「花梨さんでしょ?」
「う、うん、そうだけど。君は?」
「僕、松田陽一って言います」
「松田君?確か隣の部署よね?」
「あ、知ってくれたなんて嬉しいな〜」
屈託の無い笑顔で言ってくる彼に少し戸惑いを感じていたが、悪い子じゃないようなので貰ったコーヒーを開けてそのままその場所で飲んだ。
「松田君って若いよね?幾つ?」
「僕、高校を卒業したばかりで。19なんです」
「へぇ〜若いね〜(……司とそんなに変わらないのね)」
「で、隣の部署の貴方がどうして私の事知ってるの?」
「……あ、えっとそれは」
急に口篭り、下を向いて頬を染める彼に私は首をかしげながらもう一度聞く。
「どうしたの?言いたくないような事?」
「いえ!あ……あの、僕、花梨さんがこの支社に来た時から…。花梨さんを一目見たときから好きになってしまったみたいで……」
顔を真っ赤にしながら言った彼の言葉に私は一瞬驚いたが、そういって茶化しているだけだろうと少し嘲笑するような感じで彼に言った。

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