疑弟〜ギテイ〜

<Sweet Orange Story

  Love 愛しき言霊>

揺れる花梨 2

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頭が真っ白になるほどの快楽のあと、絶頂に向かった私は気を失い、体に感じる寒さで目が覚める。
「全く、何してるんだろう私……」
ずるずるとベッドから抜け出し、洋服ダンスの前で座り込み、引き出しを開けて下着を取り出した。
体がだるくて立ち上がるのもままにならない状態で、座り込んだまま下着をつけた時、玄関のインタホンがなる。
ハァと大きな溜息をもう1つついて、近くにある丈の長いTシャツを来て玄関に行き声をかけた。
「……誰?」
不機嫌に声をかけたがドアの向こうに居るはずの人物は声に答えることが無い。
(何なのよ……)
返事をしない人物に少しイラッとしながら、ドアスコープを覗き込む。
(っ!!)
ドアスコープにうつりこんだのは雄介。
ビックリしたと言うよりは、何だかイヤだった。私は距離をおきたいと思っていたし、何より、今さっき私は雄介ではなく、司の事を思って1人で自らを慰めた。
その救いようの無い馬鹿な行為の後、雄介が現れて私の気分は最悪なほどに沈んだ。
ドアの前で鍵を開けるべきかどうか躊躇していると、再び部屋にインタホンの音が鳴り響く。
「誰?」
誰か分かっていながらも私はドアの外に呼びかけた。
でも、返事は無い。雄介らしいといえばらしい。きっと開けるまで帰らないつもりだろう。
深呼吸を数回して、仕方なくカチャリと鍵を開ければ、ドアノブを回さなくてもドアは開いた。
雄介は仕事と言うわけじゃないから勿論、普段着。
見慣れていたはずの雄介の普段着にスーツと違う印象を受けて、何だか違う人のような感じがしていた。
ドアを開いて私を見た雄介は少し驚いた顔をして言う。
「寝てたのか?」
「ん……さっき起きたところ」
私は嘘をついた。自分を慰めていたなんて言ったらどうなるか分からないから。
「じゃぁ、丁度良かったかもな」
ニッコリ笑って雄介は手に持っていた袋を私の目の前に突き出し、上がってとも言ってないのにサッサと靴を脱いで部屋に上がり、私の横を通り過ぎた。
渡された袋を覗いて見ればテイクアウトの牛丼が2つ。
(本当に変わらないわね、こういうところ)
付き合っていた時も花のプレゼントを持ってくることなく、何時でも食べ物。しかもケーキだった事は一度も無かった。
何時だって自分の食べたいものをもってくるんだから。
先にリビングに行った雄介の後を追うようにリビングに行く。
ソファーに腰掛ける雄介の目の前にあるテーブルに牛丼を置けば、雄介がそっと私の手を取った。
「……花梨」
雄介は私の名前を呼んでグイッと強引に私を自分の隣に引き寄せる。
バランスを失って倒れこめば、もう既に私は雄介の腕の中に居た。
雄介に抱かれ、その手が私を撫でれば、私の体はゾクゾクトした感覚を頭へと送り、ピクンと体を跳ねさせる。
(ダメ……)
そう頭で思っても、私の体は言う事を聞かない。
雄介の唇が額に触れ、頬に触れ、そして唇の上で揺らめく。
(お願い……雄介。ダメよ……)
どんなに頭の中で叫んでも、塞がれた私の唇の隙間から出てくるのは甘い息。
「ンっ…ダ、ダメ……あぅん」
何とか言葉を出したが、雄介はニッコリと優しい微笑を向けるだけ。
「何がダメ?こんなに感じてるのに?」
「だって……ぁふぅ」
「言っただろう、花梨は俺の物だと」
逆らえない。そう思った。
もう私の体は本当に雄介の物になってしまったのかもしれないと、私は瞳を閉じる。
雄介の右手が私の胸を揉み、唇から伸びた舌を口中で絡ませ、左手がパンティのウエストに入ってこようとしたその瞬間、私を愛撫していたはずの雄介のぬくもりと唇が体から離れ、ドスンと言う音が耳に聞こえてきた。





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