くちづけ

<Sweet Orange Story

  Love 愛しき言霊>

欲と男と嶺 5

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左右の太腿をピタリとつけてソファーに座った私の足の間に注がれる興味と言う名の鋭い視線。
中年のギラギラした粘りのある視線とは違う、熱っぽい興味の視線は久しぶりに私の蜜壷を刺激する。
「で?見てるだけで満足ならそれでいいけど、どうするの?」
ほんの少し、1センチほど足を広げて膝に頬杖をついた私は彼に聞いた。
ジッと視線を見えそうで見えない私の下半身に注いでいた彼はハッとして首を横に振って慌てて服を脱ぎ始める。
脱ぎ着しなれた制服のはずだろうけど、彼は思いの他手間取っていた。
(あらら、そんなに急がなくても私は逃げないっていうのに)
いきり立った肉棒はその存在を主張していて、慌てる彼の姿は少し滑稽に見える。
経験の少ない彼にとって、今は絶好のチャンスだろうし、この機を逃す事が出来ないと焦る気持ちも分からなくもないけれど、そうであればあるほど、落ち着かなくてはならないという事を彼は知らない。
慌てる何とかはっていうことわざがあるように、こういう時だからこそ経験が無ければ慌ててもいけないし、ヤッテやる!っていう空気を出すのはNG。女はそれを見るだけで冷めてしまうし、経験の無い女なら少しは不安も感じてしまう。
勿論経験があれば慌てる事も無くなるし、そういう空気を出すのがNGだってことは体で分かってるから決して出さない。
経験がある無しはその人の責任ではないにしても、男は少しぐらいお勉強しておくほうが得策ね。
アダルト系の映像で勉強する人も居るだろうけど、あれは少々歪んだ性表現があるってちゃんと分かってから出ないとダメ。
やっぱりはじめは優しいオネェサンにご教授願うのが一番。
彼にはそのチャンスは無かったみたいだから、今日私が少し教えてあげてもいいかもしれない。
そう思って彼の慌てぶりを眺め、彼が最後に下着のパンツを脱ごうとした瞬間、私の後ろから聞き覚えのある偉そうな声が聞こえてきた。
「何をしているんだ?」
振り返れば、かなり不機嫌な顔をして全裸になりかけの彼を睨みつける嶺がそこに居て、嶺の威圧感に彼はその場にしりもちをつく。
チラリと私に視線を落とした嶺は自分の着ていた背広の上着脱いで私の上半身にかぶせた。
「答えろ、ホテルのボーイの分際で何をしようとした?」
低く響く嶺の声に完全にビビッてしまっている彼は口を小さくパクパク開き青ざめる。
怯えは下の肉棒にも伝わっているらしく、あんなに元気に上向きにそり立っていたモノが今は首を垂れて反省しているかのようにしぼんでいた。
何も答えようとしない彼の様子に私の後ろで明らかにイライラする嶺に視線を流して私はため息をつく。
「何をしてたかっていうか、しようとしてたかなんて見れば分かるでしょ?」
私と視線を合わせた嶺の瞳は怒りの中にも奥の方は少し寂しげに見えた。
「少し退屈だったのよ。ちょうど彼が食事を運んできてくれたし、我侭に付き合ってもらっただけ」
「お前から誘ったと?」
「誘わなくても欲しくなるのが男でしょ?それに私はそういう女よ」
「所詮はコールガールだったという事か?」
「私の魅力といって欲しい所だけど、貴方がそんな言い方はしないわよね。ま、どちらにしても彼がこうなったのも原因は嶺でしょ」
「俺が?何をした?」
「私を閉じ込めたじゃない。私ね、暇って言うのが一番嫌いなのよ」
ニッコリ微笑む私から視線を怯えて声も無く小さくなっている彼に向けこれでもかと言うほど睨み付ける。
「サッサと服を着て出ていけ。今回だけは目をつぶる。二度目は無いと思え…このホテルを辞めたくは無いだろう?」
「は、はい!」
嶺の一括は彼を震え上がらせ、彼は自分の脱いだ服を手でかき寄せ、躓きながらライオンにでも追われる様に部屋を逃げ出て行った。


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